2009年02月02日
第219幕 カリビアンシリーズはシーズン始まりの合図!
メキシコで行われるカリビアン・シリーズのため、アリゾナ州のユマに程近いメキシカリにはドミニカ共和国、ベネズエラ、プエルトリコ、そしてホスト国のメキシコが終結した。2月2日より7日まで、カリブの王者をかけて熱戦が繰り広げられる。だが、このカリビアン・シリーズの始まりはまた、多くのメジャーリーガーを送りだしているカリブ海沿岸の国の人々にとって「おらが国さの選手たち」と、しばしお別れの季節でもある。
その最終章を飾るカリビアン・シリーズは、各国のウインターリーグ優勝チームが代表で出場する。ただし優勝チーム単独では選手を賄うことができず、日本の都市対抗野球の補強制度のような形で他チームからの選手も加わり出場する。ドミニカ共和国の選手団は1月31日にメキシカリに向け出発したが、出発直前まで、やれパスポートがアメリカ大使館にあるから手続きができないだの、ビザが間に合わないから行けないだのと、てんやわんやの状態だった。
我々日本人からすれば、信じられないことでも、不思議に最終的には何とか帳尻を合わせ、ことなく始まるのがカリブ野球の祭典だ。しかし、この祭典も今季は世界的な不況のあおりを受けた。いつもなら出場選手の家族も無料でチャーター機に乗れるところ、今季はそれができないことになった。もちろん選手たちからは文句があがったが、とりまく経済状況をみれば、それを受け入れるしかなかった。
また、いつもなら積極的に参加するメジャーの大物たちも今年は出場を控える選手が続出した。3月のWBCに備えるために、いつもの年より早めに国を出てメジャーのキャンプ地に向かう選手も多く、このところ毎日のようにアメリカ本土に旅立つ選手を目にする。少なくとも2月10日前後には、ドミニカ共和国のトップレベルの選手たちはほとんど国を出てしまうことになるだろう。
唯一の例外はブラディミール・ゲレーロで、昨年秋に左膝の手術をしたため、WBCへの出場を見合わせることを条件に、エンジェルスの野手キャンプが始まるギリギリまで国への滞在が許可された。母国のために戦うという気持ちが強く、手術後であろうと試合に出ながら調整するという習慣がついているラテンの選手たちには、どこかでブレーキをかけてあげなければ、肝心のレギュラーシーズンで調子を崩すというハメに陥る。
ともあれ、カリビアン・シリーズの始まりは、彼らにとってメジャー野球のシーズンの始まりの合図でもある。それぞれの母国で英気を養った選手たちは、徐々に戦いのモードにシフトし、シーズンに向けて気持ちを高めていくことになる。
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- 鉄矢多美子(てつや・たみこ)
- 福岡県に生まれる。成城大在学中から、硬式野球部のマネジャーを務めるかたわら、ウグイス嬢の道に。1977年にロッテ・オリオンズ球団(現在の千葉ロッテ・マリーンズ)に入社して、ウグイス嬢と広報担当を兼務。87年12月からフリーに。 野球のあるとこどこまでも、の精神で、日本国内はもとより、アメリカ大リーグをはじめ、キューバ、ドミニカ共和国、プエルトリコなどに足繁く通う。将来は野球をモチーフにした一大スペクタル小説を書くのが夢。著書は「サミー・ソーサ 心はいつもホームラン」(集英社インターナショナル)、「もっとカゲキにプロ野球」(講談社)、「素顔の野茂英雄」(小学館)、「熱球伝説」(岩波書店)。
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