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2009年01月13日

第216幕 レ軍の日本食を支える日本人シェフ

 1年の大半を外国で過ごし、殺伐たる食事が続くと、やたら「白いご飯」に郷愁を覚えることがある。松坂や岡島がレッドソックスに入団した2007年、その「白いご飯」が我々取材陣の利用するメディアダイニングに用意されるようになった。いつしか日本からの取材陣は、ふりかけ、お茶漬け、佃煮、梅干しなど、思い思いのものを持ち込み、取材前のひとときをしばし日本の味に浸っていたものだ。

 なぜ「白いご飯」が用意されたのか? と聞くと「日本人シェフ」がいるのだという。他の料理にも、ちょっとオリエンタル風の味付けが加わったりするようになり、それ以後レッドソックスでの食事が楽しみになっていた。ところが昨年、その「白いご飯」が消えた。シェフがクラブハウスの食事を担当することになったからだ。ちょっと残念ではあったが、選手たちの食事の方に回ったとあっては、いた仕方ない。

 昨年10月、ポストシーズンの最中にそのシェフ・小坂勲さん(66歳)にお会いした。アメリカに渡って32年。もともとはフレンチのシェフだったそうだが、全米各地でいろいろな経験をし、オールマイティーになんでも作るようになったのだという。2006年、サンディエゴで行われたWBCで大勢の日本人がやってくるからと頼まれ、それがきっかけでルキーノ球団社長にレッドソックスに誘われた。そのおかげで、一昨年、我々取材陣が「白いご飯」の恩恵を受けていたのだった。

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 1人でレッドソックス選手たちの食事をまかなっている小坂シェフは、たとえば試合開始が午後7時であれば、朝8時半か9時にクラブハウス内の厨房にやってきて準備に入り、2時、練習前、練習後、試合後と4度の食事を用意。試合終了後までの約15~16時間は厨房で働き詰めとなる。日本食のほかに、夜の食事は魚、肉、チキン、野菜、スターチ(芋、ライス、粉もの)と5種類からメニューを考え、ときには焼き飯やラーメンなどの中華も加わって、バラエティー豊かなものを提供している。

 小坂シェフの作るおにぎり、うどんなどをこよなく愛したのはマニー・ラミレスだったが、その一番のファンが移籍でチームを去った。だが年が明けてすぐに斎藤隆の入団が決まるなど、日本人選手、スタッフも多く、日本の味のニーズはより高くなる。華やかに映し出される選手たちのプレーの舞台裏には、それを地道に支えている小坂シェフのような裏方さんがいることもまた忘れてはならない。

※写真はレッドソックスの日本人シェフ、小坂勲さん


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ガンちゃんのまいど!
鉄矢多美子(てつや・たみこ)
 福岡県に生まれる。成城大在学中から、硬式野球部のマネジャーを務めるかたわら、ウグイス嬢の道に。1977年にロッテ・オリオンズ球団(現在の千葉ロッテ・マリーンズ)に入社して、ウグイス嬢と広報担当を兼務。87年12月からフリーに。  野球のあるとこどこまでも、の精神で、日本国内はもとより、アメリカ大リーグをはじめ、キューバ、ドミニカ共和国、プエルトリコなどに足繁く通う。将来は野球をモチーフにした一大スペクタル小説を書くのが夢。著書は「サミー・ソーサ 心はいつもホームラン」(集英社インターナショナル)、「もっとカゲキにプロ野球」(講談社)、「素顔の野茂英雄」(小学館)、「熱球伝説」(岩波書店)。

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