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2008年10月10日

第207幕 シーズン終盤にみせたサンタナの凄み

 メッツのヨハン・サンタナがシーズン終了直後の10月1日に、左膝の手術を受けていたことが伝えられた。聞くところによると、左膝の違和感は1カ月以上も前から感じていたらしい。であるならば、選手生命をも左右する可能性のある中、9月後半に無謀とも思える投球を繰り広げたのは何だったのだろうか?

 9月23日、メッツはすでに中地区で優勝を決めていたカブス相手に、エース、サンタナが立ち向かった。9月10日時点で2位フィリーズに3・5ゲーム差をつけ首位に立っていたメッツが16日にその座を奪われると、22日には逆にフィリーズに2・5ゲーム差をつけられて2位に甘んじていた。「あとがない」。尻に火がついた状況の中でのサンタナの登板だった。

 この日、筆者はシェイの記者席でいつもとは違う、とてつもない気魄を噴出しているサンタナの投球を目のあたりにして驚いた。ポストシーズン進出を目指し熾烈な戦いの中で、失速してきたチーム。今日の1敗が命取りになるという瀬戸際で、絶対に負けられない、何とかしなければという気持ちが、彼の投じる1球、1球から伝わってきた。それはエースの矜持という領域を超えた投球だった。

 今季最高の球数125球(8回10三振2失点で勝利投手)を投げ終え、マウンドを降りたサンタナは「プレーオフ進出のカギとなる試合で11回、12回、13回ものイニングを投げることができるか?」という記者の質問に、きっぱりとこう答えた。「僕はそのためにいるんだ。一番重要な試合でなんとかする。なんとかするように努力する。それが僕の役目なんだ」。

 その日から中4日で行けば、今季最終戦となる9月28日の登板が予想されていたが、直後にサンタナ自身が志願して中3日で27日に登板するという情報が流れた。125球投げたあとのことだけに、いかにポストシーズンにかけているかが伝わってきた。しかもシーズン終了直後に手術したことを思えば、この時、左足の膝の状態はかなり悪い状態だったにちがいない。

 その9月27日の登板では完封勝利をおさめ、そんな事態を微塵も感じさせない完璧な投球を披露した。無念にも、この日フィリーズが地区優勝を決め、最終戦で敗れたメッツはワイルドカードでもプレーオフ進出の道が断たれた。16勝7敗。防御率1位。5年連続200奪三振…。そんな数字をサンタナに差し向けると「数字より、チームの勝利が優先」と言い切った。

 後半戦で見せたなりふりかまわない登板、投球、そして手術…。そこに、エースの矜持という領域を超えた「大和魂」にも似た姿を見たような気がしてならない。


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ガンちゃんのまいど!
鉄矢多美子(てつや・たみこ)
 福岡県に生まれる。成城大在学中から、硬式野球部のマネジャーを務めるかたわら、ウグイス嬢の道に。1977年にロッテ・オリオンズ球団(現在の千葉ロッテ・マリーンズ)に入社して、ウグイス嬢と広報担当を兼務。87年12月からフリーに。  野球のあるとこどこまでも、の精神で、日本国内はもとより、アメリカ大リーグをはじめ、キューバ、ドミニカ共和国、プエルトリコなどに足繁く通う。将来は野球をモチーフにした一大スペクタル小説を書くのが夢。著書は「サミー・ソーサ 心はいつもホームラン」(集英社インターナショナル)、「もっとカゲキにプロ野球」(講談社)、「素顔の野茂英雄」(小学館)、「熱球伝説」(岩波書店)。

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