2008年07月28日
第199幕 悲喜こもごも…それぞれのオールスターブレイク
先のオールスターゲームに出場した選手たちの栄誉は、どれほどのものか計り知ることはできない。いまだにオールスター帰りの選手たちには、関連の質問が飛び交い、実況放送でも、出場した選手たちのプレーにはオールスター出場の際の話題が盛り込まれているほどだ。では、このオールスターに出場しなかった者は…といえば、3、4日のわずかなブレイクを利用して、「故郷」へと足を向けた選手が多かった。
父親の病気を理由に引退をも考えたという、ペドロ・マルティネス(メッツ)はこの期間、ドミニカ共和国に帰り、病床の父パブロ・ハイメさん(79)を見舞ってきた。しかし、そのわずか10日後、父が他界。オールスターブレイクが最後の対面となった。自身も肩痛などを繰り返し、満足いく投球ができる状態ではなく、父親の他界を機に自らの現役生活にも幕を引くのではないかという憶測が飛び交っている。
一方、同じドミニカ共和国出身のロビンソン・カノ(ヤンキース)は、故郷に戻って、打撃改善に取り組んできた。元メジャーリーガーだった父親とマンツーマンで練習してきた成果が現れ、オールスター後の8試合(26日まで)で、35打数18安打3HR10打点と、それまでとはまるで別人のような大爆発を見せている。数日間のブレイクが後半戦のブレイクを呼んだ。
前半戦を7連敗で終わり暗いムードが漂っていたタンパベイ・レイズも同様に、このブレイクがそんな悪いムードを払拭するいいきっかけになった。この10年間で最下位が9回と、すっかり「負け犬根性」がしみついてしまったレイズだったが、今季はレッドソックス、ヤンキースなどとの対戦でも優位に戦い、1位を走るほどチーム状況が向上してきた。しかし、せっかくの1位を前半戦最後の7連敗でレドソックスにあけ渡して、オールスターブレイクに突入していたのだ。
もしや、これまでのように、このままズルズル定位置に下がってしまうのではないかという懸念もあったが、後半戦の蓋が開くと、しっかり1位を取り戻すなど、強いレイズがよみがえってきた。「チームのリフレッシュのためオールスターブレイクは、本当にいいきっかけになった」と、ジョー・マドン監督も、この期間の数日の休暇が、チームに再び戦うエネルギーをもたらしたことを歓迎している。
父親との最後の別れの時を過ごしたマルティネス。別人のように変身したカノ。チームがよみがえるきっかけになったレイズ。悲喜こもごも。それぞれのオールスターブレイクを経て、後半戦、ゴールへ向けての熱い戦いが繰り広げられている。
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- 鉄矢多美子(てつや・たみこ)
- 福岡県に生まれる。成城大在学中から、硬式野球部のマネジャーを務めるかたわら、ウグイス嬢の道に。1977年にロッテ・オリオンズ球団(現在の千葉ロッテ・マリーンズ)に入社して、ウグイス嬢と広報担当を兼務。87年12月からフリーに。 野球のあるとこどこまでも、の精神で、日本国内はもとより、アメリカ大リーグをはじめ、キューバ、ドミニカ共和国、プエルトリコなどに足繁く通う。将来は野球をモチーフにした一大スペクタル小説を書くのが夢。著書は「サミー・ソーサ 心はいつもホームラン」(集英社インターナショナル)、「もっとカゲキにプロ野球」(講談社)、「素顔の野茂英雄」(小学館)、「熱球伝説」(岩波書店)。
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