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2008年05月05日

第190幕「時がくればわかる」フリオ・フランコの引退

 フリオ・フランコがその長い現役生活に終止符を打つというニュースが伝えられた。どんな人にも「終わり」という時は訪れる。やがてフランコにも訪れるであろう、その日がそう遠くないと感じた筆者は、昨年7月23日からサンフランシスコに遠征でやってきていたフランコにインタビューをお願いした。

 メッツを解雇され、その直前の7月18日にアトランタと契約したばかりのフランコに、このチャンスを逃したら「現役選手」としての本音を2度と聞けないような気がした(結局メジャー最後のインタビューになった)。ビジターのクラブハウスに彼を訪ね、時間をとって欲しいと頼むと、自分の顔を指差し、日本語で「ジジイデモOK?」とジョークを飛ばし快く了承してくれた。

 Q 本当に自分を「ジジイ」と思っている?

 フランコ いや、そうは思っていないよ。それは実年齢から人が判断して言うことだよ。世間は年齢で人を見るからね。ここは力の世界。そこでちゃんとプレーできていれば年齢なんて問題じゃない。工藤(ベイスターズ)やクレメンス、ボンズ(インタビューの時点では現役でプレーしていた)もそれを変えようとしている。年齢は関係ない。僕はそれを証明する。彼らもそれを証明しているよ。

 Q ここまでやってこられたのは?

 フランコ ひとえに神のご加護があったおかげだね。野球ができる能力を与えてくれ、学んでいくことと経験を与えてくれ、それは神が僕に野球をしてほしいということだったと思うんだよ。僕はそれに応えるべく、体調管理をし続け、ストレスもためないようにしている。何が必要で、何をすべきでないかもわかっている。与えられた才能に対して、怠惰になってはいけない。なすべきことを一生懸命やってきていたから、今日という日があるのだと思うよ。次の日もその次の日も、それは同じ。

 Q すべては自分自身にかかっている?

 フランコ 一日を終え家に帰り、鏡を見ると、その日達成したものがその中に表れる。もし一生懸命でなかった自分がそこにいたら『やるべきことを一生懸命やっていたら、もっとよかったかも』『でも自分は弱い人間。なまけていたし、やりたくなかった?』というようなことを自分自身に問わなければならない。僕はここにいて続けていきたい。ならば50%の力でいるか、100%の力を出すか。決断はすべて自分次第。そして、すべては自分自身にかかっているんだよ。

 Q 引退を意識することは?

 フランコ 自分で意識することはないし、その時期はだれにもわからない。続けられたら神が力を与えてくれたということ。時がくればわかることだね。

  このインタビューを終えて約1週間後に、フランコはマイナー落ちし、9月に再昇格。メジャー最後のプレーは2007年9月17日。現役最後のプレーは2008年4月30日、メキシカンリーグ(3A)のキンタナロー・タイガースだった。

  「時がくればわかる」と言っていたフランコが、引退を決意したのは、自分でその時を悟ったのであろう。今はただ、49歳まで(51歳説、53歳説があり、真相は闇の中だが・・)現役を続けてきたことへ驚異を覚えるとともに、ひたむきに歩いてきた彼のベースボールへのキャリアに心から称賛を贈りたい。

ガンちゃんのまいど!
鉄矢多美子(てつや・たみこ)
 福岡県に生まれる。成城大在学中から、硬式野球部のマネジャーを務めるかたわら、ウグイス嬢の道に。1977年にロッテ・オリオンズ球団(現在の千葉ロッテ・マリーンズ)に入社して、ウグイス嬢と広報担当を兼務。87年12月からフリーに。  野球のあるとこどこまでも、の精神で、日本国内はもとより、アメリカ大リーグをはじめ、キューバ、ドミニカ共和国、プエルトリコなどに足繁く通う。将来は野球をモチーフにした一大スペクタル小説を書くのが夢。著書は「サミー・ソーサ 心はいつもホームラン」(集英社インターナショナル)、「もっとカゲキにプロ野球」(講談社)、「素顔の野茂英雄」(小学館)、「熱球伝説」(岩波書店)。

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