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2011年01月23日

第278幕 急死したA・ソリアーノの母を偲んで

 極寒の日本を抜け出して、真夏の太陽が照りつけるドミニカ共和国にやってきた。気温30度という暑さに気分もウキウキ・・と行きたかったところだが、いきなり訃報に接し、それどころではなくなった。1月18日夜、アルフォンソ・ソリアーノ(シカゴ・カブス)の母・アンドレアさんが心臓発作のため亡くなったのだ。

 「僕は先週母と連れ立ってオーランドのディズニーに行ってきたばかり。その時彼女は信じられないくらい喜び、エンジョイしていた。健康に問題があるなんて全く見受けられなかった」。母の急死というあまりの出来事に、ソリアーノは、その事実をすぐには受け入れられない様子だった。

 数年前、筆者がドミニカ共和国のサンペドロ・デ・マコリスにあるソリアーノの自宅前を通りかかった時、自宅の2階から顔を覗かせ「よかったら家に寄っていって」と招き入れてくれたのがアンドレアさんだった。「あの子がこうして活躍できているのは日本のおかげ。本当に感謝しています」。広島のアカデミーから日本に行ったことがきっかけで、大きく花開いたことをいつまでも感謝し続けていたのだ。

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サンペドロ・デ・マコリスの自宅でソリアーノの像に寄り添う母・アンドレアさん

 室内をぐるりと案内してくれる途中、ふとヤンキース時代のソリアーノの像の前で立ち止まり嬉しそうにしていた様子が印象的だった。その幸せそうな表情に思わず「お母さん、その像と一緒に写真撮ってもいいですか?」と切り出した。たった1度シャッターを切っただけだったがその写真は、母としてのプライドを秘めた穏やかでいい表情を切り取っていた。

 メジャーキャンプを直前にひかえ、今年も野球シーズンが始まろうとしている。ドミニカ共和国の選手たちもキャンプに備え最後の仕上げをしているところだ。ソリアーノはシーズンに入るとなかなかできない親孝行をこの時期にしておこうと母をディズニーに連れ立った。まさかそれが母との別れの旅になろうとは思いもしなかった。

 葬儀は生まれ故郷のサンペドロ・デ・マコリスで行われ、ドミニカ共和国出身の多くのメジャーリーガー達は、キャンプ直前の練習をとりやめて駆けつけた。ホテルに戻ると筆者はあの日撮った1枚の写真をPCから呼び出し、アンドレアさんを偲んだ。「シーズンが始まったらまたどこかの球場でお会いしましょうね」。そう言って見送ってくれたのを思い出す。ソリアーノの原点となった「日本」に感謝し続けてくれたアンドレアさん。衷心からご冥福をお祈りしたい。


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ガンちゃんのまいど!
鉄矢多美子(てつや・たみこ)
 福岡県に生まれる。成城大在学中から、硬式野球部のマネジャーを務めるかたわら、ウグイス嬢の道に。1977年にロッテ・オリオンズ球団(現在の千葉ロッテ・マリーンズ)に入社して、ウグイス嬢と広報担当を兼務。87年12月からフリーに。  野球のあるとこどこまでも、の精神で、日本国内はもとより、アメリカ大リーグをはじめ、キューバ、ドミニカ共和国、プエルトリコなどに足繁く通う。将来は野球をモチーフにした一大スペクタル小説を書くのが夢。著書は「サミー・ソーサ 心はいつもホームラン」(集英社インターナショナル)、「もっとカゲキにプロ野球」(講談社)、「素顔の野茂英雄」(小学館)、「熱球伝説」(岩波書店)。

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