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2010年12月31日

第276幕 キューバのラソが日本球界を熱望

 キューバ・ナショナルチームで長年活躍してきたラソ投手(37)が現役引退を決め、12月26日に引退試合を行った。五輪では96年のアトランタ(金)、00年のシドニー(銀)、04年のアテネ(金)、08年の北京(銀)と4大会に出場しメダル獲得の原動力となった。

 アローホ、コントレラス、チャップマンといった有力選手が次々に亡命する中、ひたすらキューバ国家に忠誠を尽くし、国内シリーズでも20年間投げ続け通算257勝を記録している。そうした功績が認められ、ハバナで一番目立つ場所にあるスポーツ省の入り口に、ラソの写真が掲げられ国民から大きな賞賛を贈られて続けている。

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ラソの写真が掲げられているキューバ・スポーツ省前にある看板

 キューバ野球が日本にポピュラーに知られることになったのは、オマール・リナレスがきっかけだった。筆者はそのリナレスを追いかけてキューバに足繁く通っている時、ラソに出会った。ピナール・デル・リオという同じチームでプレーしていたからだ。コントレラスも同じチームで彼らは兄弟のように仲が良く、何をするにも一緒だった。

 そのコントレラスが02年10月に突如亡命したときは、普段は明るい性格のラソが何日も泣き通し、人を遠ざけるまでに落ち込んでいた。後日コントレラスが、グラブを持ってきて、人差し指のところに数百ドルをまるめて挟み込み、筆者に「これをラソに」と渡されたことがある。当局にみつかると大変なことになるため、慎重を期してラソのもとに届けなくてはならなかった。「兄貴」からの贈り物を受け取った時、これまでのラソに戻ったような気がした。

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どんなときも葉巻を口にくわえているラソ

 今でも記憶に残っているのは95年、福岡で行われたユニバーシアードに出場したキューバチーム。球場の通路でサルサを聞きながら次の試合の出番を待っていたラソが、突然筆者の手を取り、サルサのリズムに乗ってステップを始めると、そのままグラウンドまで行こうとしたことがあった。試合前に何と集中力を欠いた態度だろうと思っていたら、その試合でバッタバッタと三振を取り大活躍したのには驚かされた。

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来日した折に「日本でプレーするシュミレーション」といいながらJRの切符を買うラソ

 ここまで野球を続けてきたラソは一つの「野望」を持ち続けてきた。日本でプレーすることだ。彼の中では北京が終わって一区切りつけ「日本で」というシナリオになっていた。ところが投手力の低下でやむなくキューバで現役続行となったのだ。「ジャイアンツ? アマチュア? どこでもいいよ。とにかく日本でプレーしてオレの野球の集大成にしたいんだ」。近年はそれが口癖だった。キューバ政府がどのように判断するか。果たしてラソの夢が叶えられる日は来るのだろうか…。


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ガンちゃんのまいど!
鉄矢多美子(てつや・たみこ)
 福岡県に生まれる。成城大在学中から、硬式野球部のマネジャーを務めるかたわら、ウグイス嬢の道に。1977年にロッテ・オリオンズ球団(現在の千葉ロッテ・マリーンズ)に入社して、ウグイス嬢と広報担当を兼務。87年12月からフリーに。  野球のあるとこどこまでも、の精神で、日本国内はもとより、アメリカ大リーグをはじめ、キューバ、ドミニカ共和国、プエルトリコなどに足繁く通う。将来は野球をモチーフにした一大スペクタル小説を書くのが夢。著書は「サミー・ソーサ 心はいつもホームラン」(集英社インターナショナル)、「もっとカゲキにプロ野球」(講談社)、「素顔の野茂英雄」(小学館)、「熱球伝説」(岩波書店)。

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