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鉄矢多美子「Field of Dreams」のイメージ画像

鉄矢多美子(てつや・たみこ) 福岡県に生まれる。1977年にロッテ・オリオンズ球団(現在の千葉ロッテ)に入社してウグイス嬢と広報担当を兼務。87年12月からフリーに。日本国内はもとよりアメリカ大リーグをはじめ、キューバ、ドミニカ共和国、プエルトリコなどに足繁く通う。著書は「素顔の野茂英雄」(小学館)、「熱球伝説」(岩波書店)など。

第280幕 人類最速球男・チャプマンが抱える問題点

11年4月09日 [22:53]

 シンシナティ・レッズが開幕から好調な滑り出しを見せている。開幕シリーズでは現地、4月3日に注目のアロルディス・チャプマンが今季初のマウンドに上がった。最高球速103マイル(166キロ)が場内に表示されると、観客から歓喜がわき上がった。4月6日には2回目の登板。この日もMAX103マイルを連発。剛速球がうなりをあげた。

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しなやかな投球フォームのチャプマン

 だが2年目を迎えたチャプマンが、セットアッパーとして首脳陣に信頼されているかどうかは別問題だ。2試合ともレッズが大差をつけ、勝利が決定的な場面での登板だったからだ。スプリングトレーニングの後半、3月26日の対サンフランシスコ・ジャイアンツ戦で、6-3とレッズがリードの6回に登場し、被安打4,失点、自責点5、ワイルドピッチのおまけまでついて一死も取れずに降板。敗戦投手になったことで不安を残しながらのシーズンインだった。

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ブルペンを出て、マウンドに向かうチャプマン

 「昨年と違って気持ちの余裕が見られるが、(レギュラーシーズンに向けて)完全に準備ができているとは思わない」。キャンプの仕上げ時点でダスティー・ベイカーは杞憂をのぞかせていた。その実、4月7日のヒューストン・アストロズとの試合では7回まで2-2の場面でチャプマンの投入はなかった。本来の調子なら、8回に登場してもおかしくないケースだったが、現時点で試合後半の競った場面での投入を躊躇(ちゅうちょ)するケースが多い。

 いくらストレートが速かろうが、投球の「まとまり」がなければ、試合をぶちこわす結果になり得る。チャプマンは「自分の球速は他のだれよりも速い」という自覚からか時折、スピードに拘る投球が見てとれる。キャンプ後半バランスを崩したのもそれによるところが大きいように見受けられた。まわりが「人類最速」を期待すればするほど無意識のうちに「速さ」にとらわれた投球に傾いてしまう傾向にあった結果だ。

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球速103マイルを表す電光掲示版

 とはいえ、速い球を投げられることは、持てる才能であり、戦いの中では大きな武器になるし魅力でもある。彼の今後の課題はその武器をどのように有効に使っていくかだろう。「投球術」が身についてくれば、それらの武器を最大限に使いこなすことができるようになる。ベイカー監督も言うように昨年とは打ってかわって2年目の今年はその所作にも随分と余裕が感じられるようになってきた。様々な「経験」がそうさせたのだろう。そして今後のチャプマンの投球に必要なものもまた、より多くの「経験」を積むことによるものが大きい。

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キャンプではより迫力ある投球を見せていた

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