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2010年9月09日

故障を乗り越える

~オリックス・甲斐拓哉投手~

 早や9月-。ペナントレースは終盤を迎えている。セ・リーグは阪神、中日、巨人が…。パ・リーグは西武、ソフトバング、ロッテが…。互いに抜きつ、抜かれつ、表舞台の優勝争いは大いに盛り上がっているが、こちらも負けてはいない。ウエスタン・リーグだ。阪神、ソフトバンク、オリックスの三つ巴。もう残り10試合を切ったチームもある。ファームを中心に取材する私としては、目が離せない。

 首位攻防戦の取材に行った。鳴尾浜球場の阪神-オリックス戦。3連戦の結果は阪神の2勝1敗。大事な初戦、4対0と阪神が勝利を納めたが、この試合で話題をさらったのは、勝敗に関係なく一軍復活を目指すの能見のピッチングだった。病み上がりとはいえ、やはり格が違う。6回1/3を無失点の10奪三振。申し分ないテスト登板だったが、私が注目したのも、勝敗に関係なく、能見の陰に隠れて、緊張感から金縛りにでもあったかのような、真剣なまなざしで投げ続けたオリックスの先発投手だった。

 どうしても若い選手が気になる。甲斐拓哉投手(19)右投げ、右打ち。身長183センチ、体重83キロ。長野の東海大三出身。昨年のドラフト1位で入団した選手。ピッチングを見るのは今回が初めて。普通ドラ1の投手であれば、もう何度か見ていても不思議ではないと思うが、何故かお目にかかったことがない。話を聞いてみると、故障がちの選手生活をおくっていたのだからで、この日がプロ入り初先発だった。

 内容は決して褒められたものではない。緊張感からだろう。顔は引きつっていた。初回、一球目から8球続けてボール球。ストライクがはいらない。何と3者連続四球で、いきなり無死満塁の大ピンチ。前途多難のスタートを切ったが、それでも5回を投げて3失点。先発投手としてはまずまず。相手が能見。初めに黒星がついてしまったが、試合後の甲斐は大いに喜んでいる。「100球投げられたことがうれしくて…」と、笑顔で話した。私には、100球の意味がいまひとつわからなかったが、酒井ピッチングコーチの話しを聞いて納得した。「去年もそうでしたが、今年も故障がちで投球数の制限があったんですよ。一日30球だったり、一日おきだったり、あまり球数を投げていなかったので。本当に、今日100球投げられたということは、非常に喜ばしいことです。これからです」だった。体には恵まれている。見るべき球もあった。5回、一軍でも活躍している狩野を空振りの三振に仕留めたストレートは球威があった。

 暗いトンネルを抜け出した。やっと目の前が開けてきたが、安心するのはまだ早い。完治したわけではない。故障個所というもの。投げた当日は何事もなくとも、翌日とか、翌々日になって痛みを再発する場合が多い。あくる日、本人に状態を確認しようと思ったが、チームに同行していない。トレーナーにでもと考えたが、3連戦である。もう一日待ってみると姿はあった。表情は生き生きしている。顔を見ただけで状態はわかった。「大丈夫です。あの日帰ってからバイクを漕いだのがよかったような気がします」と、やはり笑顔だった。本当にうれしそうである。

 「昨年が左、今年が右ヒザの同じところを痛めましたので。ちょっと心配しましたが、もともと、肩やヒジは何ともありませんので、もう大丈夫だと思います。やっとスタートが切れました」。

 今の気持ちを忘れるな。与えられた試練は、自分にうち勝つチャンスだと思え。チームには見習うべく投手がいる。今季6完封を含む15勝を挙げている金子千尋投手。同じタイプだ。いいところはすべて盗め。何事も勇気を持て。元気を出せ。そして、努力を重ねることが自信に?がるはずだ。


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ウエスタン一番星
本間勝(ほんま・まさる)
 1939年(昭14)5月1日生まれ。愛知県出身。中京商(現中京大中京)を卒業後、58年に阪神タイガースに入団。投手として活躍し、60年5月15日の巨人戦で初勝利をマーク。この年に13勝を挙げた。66年に西鉄に移籍。翌年、現役を引退。
 現役生活は実働10年で、216試合に登板。28勝38敗。16完投、4完封で377奪三振。通算投球回数は693回1/3で防御率2・86。
 退団後は14年間の新聞記者生活を送る。球団の営業担当などを歴任し、阪神の球団広報に。吉田義男氏(日刊スポーツ客員評論家)が3度目の監督に就任した時は広報部長。大物外国人グリーンウェル(レッドソックス→阪神)が「神のお告げ」で途中帰国したときの対応に苦慮。「あの年は、なかなかしんどかったですなあ」と振り返る。星野監督には、シーズン中の記者とのお茶会を進言。「あれだけ気の利く監督でしたから。広報の私は必要ないですな、と言ったこともありましたよ」。激しいスクープ合戦を繰り広げる虎番記者と、監督や選手との調整に手腕を発揮した。長い記者生活のキャリアを生かした名物広報ぶりに、お世話になった虎番は多数。
 現阪神タイガースOB会副会長。

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