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2010年6月02日

魅力の長打力(フレッシュオールスター出場)

~阪神・森田一成内野手~

 連日の特訓。試合後であっても容赦なし。特打した後も続く。コーチが選手の2~3メートル前に立つ。何球かボールを手に持って右に左にトスをする。捕球できるか。できないか。ギリギリのところへ狙って投げる。その球を捕ったか、捕らないかのタイミングで今度は逆方向へトスする。選手は息付く間もなく左右に動きまわる。10球~20球がワンセット。数秒休んでまた始まる。何セットも。何セットも同じ事を繰り返す。くたくたになりながらも、歯を食いしばって頑張っている選手は、今季3年目、昨年から育成選手に降格され「絶対に見返してやる」と闘争心をむき出しにして体当たりしている、森田一成内野手(21)右投げ、左打ちである。

 瞬発力を付け、体の切れをシャープにするのが狙い。当然スタミナも付く。私も現役時代何度となく体験したが、メチャクチャ苦しい。ヒザに力がはいらなくなる。足が自分の思うように動いてくれない。息切れはする。実にシンドイ練習だ。

 愛のムチ…。苛め…。見ていると、どちらも判断しがたい光景だが、長打力という森田の持ち味に期待をかけた愛のムチに違いない。185センチ。91キロ。体には恵まれているが、瞬発力には欠けている。厳しく鍛え補っていく以外にない。森田にとっては耐えるしかない。自分との闘いである。弱音など吐いている立場ではない。「このところ毎日の特訓ですが、弱音は吐いていますよ。シンドイとか、もうダメですとか、コーチの人に訴えてはいます。でも、それで許してくれることなどないですよね。」さんざんシゴカれたあとの話しだ。これだけのジョークが飛び出してくるのは頼もしい。大いに期待が持てる性格だ。

 厳しい練習の成果は出てきた。攻、守に進歩のあとが見られる。平田監督の目にもとまった。その証拠が、7月22日(木)長崎で行われる“フレッシュオールスター”に推薦され、出場が決定したこと。育成選手という立場でも出場は珍しい。同監督「よう頑張っています。かなり激しい練習にも、よくついてきてますね。結果も出始めています。だから推薦したんですよ。今のうちの若手(ファーム)で、あれだけ遠くへ飛ばせる選手はいません。やはり長打力は魅力ですね。オールスターは、他チームの選手と一緒にプレーできますので、いろいろ勉強もしてきてほしいですね」と森田の努力を認めているが、今後も手を抜くことはない。厳しい練習は続くだろう。

 ウエスタン・リーグの成績に目を通してみる。なるほど成長している。5月30日現在83打数25安打で3割をキープ。2ホーマーで、打点12。規定打席にはちょっと足りないが、近々ベストテンに名を連ねてくるはずだ。「成長しています。変化球でも球を拾うのはうまいし。意外に器用な選手です。」は八木コーチ。「長打力は魅力です。今、下半身の使い方をアドバイスしていますが、下半身がうまくつかえるようになれば、もっと遠くへ飛ばせるようになるでしょう」は町田コーチ。両バッティングコーチとも森田に寄せる期待は大きい。

 まだ、まだ発展途上の選手だが、平田監督がことの外喜んでいたのは、バッティング面ではなく、守りだった。「この前、マツダスタジアムで行った広島戦。ファーストを守って、3ついいプレーをしたんですよ。1,2塁間の打球も、1塁線を襲った打球も、本当にいい動きをしていました。入団してきた年はどうなるかと思いましたが、守備面でも成長していますね」連日、ヘトヘトになるまでボールを追いかけている。そういえば腰を低くして捕球する動作も特守の中に含まれている。コーチが正面からゆるいゴロを投げての捕球。ゴロを捕球する基本動作の反復だ。足腰も鍛えられる。この訓練も想像以上に苦しい練習なのだ。もっともっと苦しめ。与えられた訓練は自分に討ち勝つチャンスと思え。
 「フレッシュオールスターに出られるのはうれしいですね。いろいろ勉強もしてくるつもりですが、やっぱり、ああいう試合ではホームランが打ちたいです。今、調子は自分ではそれほどいいとは思っていませんが、なぜか、結果は出ています。悔しいのはホームランの数が少ないことです。持ち味は長打だと思っていますので、どうしても意識してしまいます。交流戦ですか…。あれは相手がアマチュアですから何本打っても納得はできません」

 前向きな姿勢がいい。不可能を可能にするには練習しかない。必ずいい結果を出せる保証はないが、練習なくして好結果が得られないのも事実だ。


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ウエスタン一番星
本間勝(ほんま・まさる)
 1939年(昭14)5月1日生まれ。愛知県出身。中京商(現中京大中京)を卒業後、58年に阪神タイガースに入団。投手として活躍し、60年5月15日の巨人戦で初勝利をマーク。この年に13勝を挙げた。66年に西鉄に移籍。翌年、現役を引退。
 現役生活は実働10年で、216試合に登板。28勝38敗。16完投、4完封で377奪三振。通算投球回数は693回1/3で防御率2・86。
 退団後は14年間の新聞記者生活を送る。球団の営業担当などを歴任し、阪神の球団広報に。吉田義男氏(日刊スポーツ客員評論家)が3度目の監督に就任した時は広報部長。大物外国人グリーンウェル(レッドソックス→阪神)が「神のお告げ」で途中帰国したときの対応に苦慮。「あの年は、なかなかしんどかったですなあ」と振り返る。星野監督には、シーズン中の記者とのお茶会を進言。「あれだけ気の利く監督でしたから。広報の私は必要ないですな、と言ったこともありましたよ」。激しいスクープ合戦を繰り広げる虎番記者と、監督や選手との調整に手腕を発揮した。長い記者生活のキャリアを生かした名物広報ぶりに、お世話になった虎番は多数。
 現阪神タイガースOB会副会長。

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