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2009年9月17日

優勝争い

~阪神-中日戦~

 ペナントレースも終盤。ウエスタン・リーグの優勝争いがシ烈を極めている。15、16日の両日、鳴尾浜球場で行われた首位攻防の阪神-中日戦。1ゲーム差。首位は中日、追う阪神。初戦、両チームの先発投手を見て、その緊張感が伝わってきた。

 タイガースが、一時は1軍のローテーションの一角を担っていた杉山を起用すると、ドラゴンズは、今シーズン1軍で11連勝をマークした話題の人、川井がマウンドに上った。若手の育成に主題を置くファーム。勝負は二の次にするケースが多い中、この2試合は違っていた。勝利を意識した戦い。一投一打、選手はひとつの白球に集中した。いい意味での緊張感が漂うプレーは、我々の目を楽しませてくれた。

 両チームが死力を尽くした戦いは、結局1勝1敗に終わり、優勝は持ち越された。試合を振り返ってみる。初戦だ。マウンド上の川井が、2点目を献上したバルディリスの一発に、マウンドの砂を蹴り上げて悔しがれば、6回、李炳圭(イ・ビョンギュ)に逆転の2ランホーマーを浴びた杉山は、無情にもフェンスを越えた打球を見て唇を噛んだ。まるで、勝ち負けに一喜一憂する1軍のペナントレースを見ているような雰囲気だ。互いに逆転勝ち。まず中日が勝ってマジックナンバー“2”が灯った。直接対決である。あくる日も勝利を収めれば優勝が決定する一戦。今度は阪神がホームラン攻勢をかけて立ちはだかった。グラウンドの選手に笑顔はなかった。全員が勝負をしていたからだ。

 プレッシャーを感じながらの試合だった。こういうゲームを経験することによって、若い選手は自信をつけていく。成長に加速がつくはずだ。両チームの監督に話を聞いてみた。首位を行く中日に敬意を表して、まずは辻2軍監督「ファームの場合、どうしても若手の育成に重点を置いていますからねえ。優勝争いというのは、この時期しかできませんが、こういう緊張感はいいですね。毎試合続けられたら選手はよく育ってくれるでしょうが、ファームはねえ。でも、これは今までみんなで頑張ってきた結果ですから。本当、2試合ともいい試合でした。緊張感を持ってできたことに意義があったと思います。いい経験になりました」。残りはあと2試合。まだ有利であることは間違いない。

 阪神・平田2軍監督もこう言った。「こういうプレッシャーのかかる中で、いいプレーをするのは大変ですが、勝ったゲームを振り返ってみますと、無死満塁のピンチを、ホームゲッツーで切り抜けたプレー。どうしてもあと1点ほしい時に送りバントを決めたこと。ものすごいプレッシャーがかかっていたと思いますが、あのプレーがこの日の勝利をもたらしたと言ってもいいですね。確かに3本のホームランが無かったら勝っていないでしょうが。あのふたつのプレーは、ふだんの練習をおろそかにしていたらできませんから。今日のゲーム後のミーティングでは、そのことを話しました。本当、いいゲームでした。まだあきらめていませんよ」。こちらも残り試合はあと2。勝つしかない。

 両監督とも満足のゲーム。この試合を見る限り、新しい力が台頭してくるのは間違いない。プロ野球界の将来の見通しは明るいと見た。そんな試合の中で、どうしても気になったのは中日・川井の現状だ。今季、大きな話題を提供している1人。過去4年間で1勝しかしていない投手が、開幕から11連勝した。ファームで復調を期す現状を聞いてみた。小林ピッチングコーチは「まだピッチングにメリハリがない。良かった時に比べたらまだまだですが、クライマックス・シリーズ等には必要な投手ですから…」と見ており、川井本人は「こういう緊張感のあるゲームに登板させてくれたことはありがたいですね。あとは勝っていた時の調子を取り戻すことですが、今心掛けていることは、右打者の内角球のコントロールです」と言う。ファーム落ちしてミニキャンプを張った。今回は、6イニング投げて2失点。クライマックス・シリーズに間に合うか。手応えはつかみつつあるようだ。


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ウエスタン一番星
本間勝(ほんま・まさる)
 1939年(昭14)5月1日生まれ。愛知県出身。中京商(現中京大中京)を卒業後、58年に阪神タイガースに入団。投手として活躍し、60年5月15日の巨人戦で初勝利をマーク。この年に13勝を挙げた。66年に西鉄に移籍。翌年、現役を引退。
 現役生活は実働10年で、216試合に登板。28勝38敗。16完投、4完封で377奪三振。通算投球回数は693回1/3で防御率2・86。
 退団後は14年間の新聞記者生活を送る。球団の営業担当などを歴任し、阪神の球団広報に。吉田義男氏(日刊スポーツ客員評論家)が3度目の監督に就任した時は広報部長。大物外国人グリーンウェル(レッドソックス→阪神)が「神のお告げ」で途中帰国したときの対応に苦慮。「あの年は、なかなかしんどかったですなあ」と振り返る。星野監督には、シーズン中の記者とのお茶会を進言。「あれだけ気の利く監督でしたから。広報の私は必要ないですな、と言ったこともありましたよ」。激しいスクープ合戦を繰り広げる虎番記者と、監督や選手との調整に手腕を発揮した。長い記者生活のキャリアを生かした名物広報ぶりに、お世話になった虎番は多数。
 現阪神タイガースOB会副会長。

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