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2009年9月03日

3番起用

~ソフトバンク・中村晃選手~

 ウエスタン・リーグは終盤に突入した。1軍に昇格してチャンスをつかんだ選手。つかみかけている選手。力足らずして再びファームで鍛えている人。一度も上から声がかからなかった若手。今シーズンも笑った人、悔いを残した人。悲喜こもごもの1年だったが、私の目はもう来季に向いている。どこかに、生きのいい若手がいないものかと、阪神-ソフトバンク戦の取材に足を運んだ。試合前の練習を拝見し、発表されたスターティングメンバーを聞いて注目の選手が浮かんだ。「3番、レフト中村」。狙った球がきた時の、思い切りのいいバットスイングは気持ちいい。名門・帝京から入団して2年目。高校時代は日米親善野球の日本選抜チームに選ばれた。2年生の夏から4番。通産60ホーマーを放ったスラッガー。今、クリーンアップの一角を担う若手。期待したい選手だ。

 3連戦、いずれも“3番”に座った。結果は13打数、2安打、1打点。今回はいまひとつの内容だったが、今季のウエスタン・リーグの成績(8月31日現在)は、66試合に出場。187打数、56安打、3本塁打、29打点。打率が・299。成績の中で目を引く数字がある。12本の二塁打と、5本の三塁打。特にスリーベースの5本はチームのトップ。足が速くないとできない。ただ打つだけの選手ではないことを証明している。すべて昨年を上回る成績。ゲーム後、外野で行われるランニングは積極的に取り組んでいる。短い距離ではあるが、何度も何度もダッシュを繰り返す。それが終わるとバットを持って素振りを始める。

 クリーンアップに座った。力を付けてきたと見てもいいだろう。バッティングを担当する山村コーチに中村の現状を聞いてみる。「3番ですか…。つい最近ですよ。監督とも相談して決めたんですが、まだ、3番に座るほどの実力はありません。これからの選手ですし、責任感を植え付けるために打たせています。現状は、外寄りの球にはスムースにバットは出ますが、内角球は打ちづらそうです。いいものは持っています。もっと体ができてくれば、元々遠くへ飛ばすパワーはありますし、楽しみな選手ですよ」。責任感を養うための起用だという。地位は人を育てるという言葉がある。英才教育のひとつだろう。チームが中村にかける期待度のあらわれだ。

 「3番は意識していません。意識すると、かえっていい結果は出ないと思いますから。ただ、チャンスによく打順が回ってくるのは確かですし、そういう意味では緊張感の中で野球ができています。今、心掛けているのはフォーム固めです。バットのヘッドがスムースに出るように、上半身と下半身のバランス、腕の使い方などいろいろ勉強しています。調子はまあまあですが、目標といえば、やはり1軍です。1年後とか、2年後とかでなく、チャンスがあれば1日でも早く昇格したいですね。そのためには、このファームでいい結果を出さないと声はかかりません。頑張ります」。

 ひたむきに努力を重ねる中村。ファームの場合、公式戦が終了しても、それですべてが終わるわけではない。10月には、12球団のファームが宮崎に集合して、フェニックス・リーグが行われる。そして、11月には秋季キャンプだ。1軍首脳陣の目に触れる時期がやってくる。そういえば昨年のフェニックス・リーグ、秋山監督の目の前でホームランを放ってアピールした。「この世界のことは、だいぶわかってきましたし、昨年に比べましたらかなり周りは見えてきました。自分で練習ができるようになりました」。自分で学ぼうとする意欲がなければ進歩はない。今後も幾多の困難が待ち受けている。技術的なこと、精神的なこと。与えられた試練は、自分に打ち勝つチャンスだと思え。


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ウエスタン一番星
本間勝(ほんま・まさる)
 1939年(昭14)5月1日生まれ。愛知県出身。中京商(現中京大中京)を卒業後、58年に阪神タイガースに入団。投手として活躍し、60年5月15日の巨人戦で初勝利をマーク。この年に13勝を挙げた。66年に西鉄に移籍。翌年、現役を引退。
 現役生活は実働10年で、216試合に登板。28勝38敗。16完投、4完封で377奪三振。通算投球回数は693回1/3で防御率2・86。
 退団後は14年間の新聞記者生活を送る。球団の営業担当などを歴任し、阪神の球団広報に。吉田義男氏(日刊スポーツ客員評論家)が3度目の監督に就任した時は広報部長。大物外国人グリーンウェル(レッドソックス→阪神)が「神のお告げ」で途中帰国したときの対応に苦慮。「あの年は、なかなかしんどかったですなあ」と振り返る。星野監督には、シーズン中の記者とのお茶会を進言。「あれだけ気の利く監督でしたから。広報の私は必要ないですな、と言ったこともありましたよ」。激しいスクープ合戦を繰り広げる虎番記者と、監督や選手との調整に手腕を発揮した。長い記者生活のキャリアを生かした名物広報ぶりに、お世話になった虎番は多数。
 現阪神タイガースOB会副会長。

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