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2009年8月20日

捕手の条件

~阪神・清水誉捕手~

 捕手に対しての「野村の考え」を思い出してみた。現楽天・野村監督が、タイガースで指揮を執った年。キャンプ地で選手に配布した野球の参考書である。はっきりした記憶とは言えないが、捕手編で私が一番良く覚えているのが「捕手は守りにおける監督の分身である」と明記してあったこと。キャッチャーがその試合で占めるウエートの大きさを表現したひと言だ。ゲームの勝ち負けの7割を左右する、カギを握っているのが投手だという。そのピッチャーをリードしていく立場。いかに重責であるかはうなずける。今回は入団3年目にして1軍デビュー果たした阪神・清水誉捕手(25)の現状にスポットを当ててみる。

 大変なポジションである。味方投手の長所、短所、性格などを知り尽くすのは当然のことだが、先発でマスクをかぶった場合は、まずその日の先発投手の調子をいち早く見抜くことが要求される。球の切れ。コントロール。いい感じの球種、悪い球種を把握し、いい球を中心にしたリードをしていくことが望まれる。「試合前のブルペンでのピッチングを受けたりして、少しでも早くそのピッチャーの調子を見極めようとしていますが、これまで、いい結果が出せなかったということは、まだまだ勉強不足だということです」という清水。今季は1軍で初めてマスクをかぶった。先発出場も3試合ある。初ヒットは打った。初ホームランも放ったが、やはりキャッチャーは守れなければゲームに出してもらえない。ただいま、猛勉強中。

 つい先日までファームで実践経験を積んでいた。その時の試合を拝見した。不思議なものだ。清水の動きは昨年までとひと味違う。1軍効果が見てとれる。動きに余裕が出てきた。ピッチャーにサインを送る動作、打席に入った時のしぐさに、ぎこちなさがなくなった。動きが自然だ。成長していく上での階段を一歩一歩上りはじめた。嶋田2軍バッテリーコーチの目には、どう映っているのか。「成長していますねえ。やはり1軍へ行ってくると自信といったらいいのか、気持ちのもちかたが違うんですかねえ。リード面でも、勝負にいくまでの配球なんか、かなり考えたリードをするようになりました」と見ている。配球には根拠がなくてはならない。同コーチは、勝負球を有効に使うためのリードができるようになったことを認めている。

 ポスト矢野。現在では狩野に一歩、二歩とリードされている。追い付き、追い越すまでの道程は厳しい。楽天・野村監督はこうも言っている。「捕手は、投手を助ける心理学者であれ。洞察力を養うのは当然。記憶力、推理力、判断力を基本にリードすべし」と-。だから、捕手は頭脳労働者だと言う。野球をあらゆる角度から勉強せよ。卓越した理論の持ち主になれ。研究熱心でなくてはならない。キャッチャーは経験を積むことが必要不可欠なポジション。一人立ちするまでに時間を要するのは、こうした数々の条件をクリアしなくてはならないからだ。

 バッテリーはゲームメーカーである。特にキャッチャー。試合前には先乗りスコアラーが収集してきたデータをすべて頭に入れる。万全の準備がいいリードに繋がる。自チームの投手だけではない。相手打者をも知り尽くす役目がある。そして、内、外野への気配り、目配りをする。ゲーム前から大変な作業をこなさなければならない。チームや投手からの信頼、まだ少々時間はかかるだろう。清水は現状を「現在のテーマですか…。当然投手のリードを含めた守りですね。このテーマを消化するためには、まだまだやることは、いっぱいあります」という。目は輝いていた。前向きの姿勢がいい。捕手としての条件をいろいろ語ってきた。難問は山積みだが、18日、再度1軍登録された。チャンスが巡ってきた。チャンスは自分でつかむもの。今度こそチャンスをつかめ。


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ウエスタン一番星
本間勝(ほんま・まさる)
 1939年(昭14)5月1日生まれ。愛知県出身。中京商(現中京大中京)を卒業後、58年に阪神タイガースに入団。投手として活躍し、60年5月15日の巨人戦で初勝利をマーク。この年に13勝を挙げた。66年に西鉄に移籍。翌年、現役を引退。
 現役生活は実働10年で、216試合に登板。28勝38敗。16完投、4完封で377奪三振。通算投球回数は693回1/3で防御率2・86。
 退団後は14年間の新聞記者生活を送る。球団の営業担当などを歴任し、阪神の球団広報に。吉田義男氏(日刊スポーツ客員評論家)が3度目の監督に就任した時は広報部長。大物外国人グリーンウェル(レッドソックス→阪神)が「神のお告げ」で途中帰国したときの対応に苦慮。「あの年は、なかなかしんどかったですなあ」と振り返る。星野監督には、シーズン中の記者とのお茶会を進言。「あれだけ気の利く監督でしたから。広報の私は必要ないですな、と言ったこともありましたよ」。激しいスクープ合戦を繰り広げる虎番記者と、監督や選手との調整に手腕を発揮した。長い記者生活のキャリアを生かした名物広報ぶりに、お世話になった虎番は多数。
 現阪神タイガースOB会副会長。

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