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2009年8月13日

揺るぎない集中力を養え

~オリックス・岡田貴弘選手~

 目の前で、いきなり超特大の一発を見せ付けられた。真夏の鳴尾浜球場、阪神-オリックス戦。バックスクリーンの横にある、スコアボードのド真ん中を直撃した。オリックスの長距離砲・岡田貴弘選手(21)が放ったホームランである。今回は他の選手に的を絞って取材に行ったはずが、やっぱり長打の魅力にぐっと気持ちが引き付けられた。6月、確かこの一番星で岡田の追っかけ宣言をした。取材は方向転換だ。前回もそうだったが、阪神福原を打ち砕いた完璧な一打。ウエスタン・リーグでの8月10日現在の成績は、62試合に出場。246打数72安打、・293の打率はリーグ5位。本塁打の19本、打点の55は目下、ダントツの2冠。我々“1軍昇格”もと見るが…。

 岡田の守れるポジションは一塁と外野。チーム事情を分析してみる。一塁にはカブレラがいる。打線から外せない中心打者の1人だ。外野は坂口、大村、浜中、ローズ、小瀬とバラエティーに富んだ布陣だ。なかなか入り込む余地はない。特に外野となると守備に多少の不安がある。古屋2軍監督が「最近も、1軍昇格の話はありますが、一塁はカブレラがいる。外野には、いま調子のいい浜中がいるし、坂口、大村などもいる。昇格しても代打だけとなると練習不足になるし、実践の経験もあまりできない。ちょっと上げづらいところですかね」と現状を語ってくれたが、チームとしても、若い選手の成長を考えると決断しにくい。

 守備位置で、一番無難にこなせるのは一塁手。練習を見ていると、内野でノックを受ける。外野ではバッティング練習の打球を右に左に追う。もう汗びっしょりだが、これも自分のため。試合では4連戦、いずれも左翼でスタメン出場した。出場のチャンス(1軍)を広げるための起用は目に見えているが、バッティング面で結果を出しているだけに使ってみたい選手だ。現在のチーム成績(1軍)そして、将来を見据えた場合、我慢して起用する手はあると思うが、現在の調子を岡田本人に聞いてみると「いやあ、あまり状態は良くないです」と首を捻って苦笑い。昇格を見合わせているのはこの辺にあるのかもしれない。調子が上がってきた時が、1軍からお呼びがかかる時だろう。

 その復調のカギを握っているのは今年とりいれた、バッティングフォームだ。課題だったフォーム固めについて藤井バッティングコーチは「フォームはかなり固まってきました。かりに少々崩れたとしても、ちょっとしたアドバイスで元に戻りますから。あのホームランはいい感じで打っていましたね」と見ている。同コーチのバッティング理論で大きく成長した。練習中はいまもケージの後で身振り手振り、付きっ切りでアドバイスしている。前回取り上げた時、浜中も認めていたが本当、打球は実によく飛ぶ。大きな放物線を描いた、典型的なホームランバッターのそれだ。過去、昨年が5本、一昨年が4本と1桁しか打てなかったホームランが現在19本。元々遠くへ飛ばす力を持ったパワーヒッターだが、フォームが固まらない限り、これだけ大幅にアップすることはあり得ない。

 バッターボックスに入る時、まず左足の位置をしっかり決める。それから、おもむろに軽く砂を蹴って右足を置く。ゆったりしている。バットを持つ腕の力は抜けている。どっしりした構えは実に柔らかい。雰囲気が出てきた。ホームランを打ったあくる日。今度は左投手にどう対応するか注目した。阪神の先発投手は、左腕の小嶋。第1打席、肩口から入ってくるカーブ。いわゆるホームランボールを打ち損じた。やはり、苦手意識を持っているように思えたが、次打席、ほとんど同じようなカーブ。今度は見事にセンター前へタイムリーヒットを放った。間違いなく成長している。これからの課題を聞いてみた。「1打席目のああいう球は絶対に仕留めないといけないボールです。打ち損じをもっと少なくしていくのが課題です。フォームは、なんとか自分のものになってきました」。成長を裏付ける発言だ。昇格は近い。揺るぎない集中力を養え。ひとつひとつのプレーに、集中力を持って取り組まないと1軍では通用しない。


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ウエスタン一番星
本間勝(ほんま・まさる)
 1939年(昭14)5月1日生まれ。愛知県出身。中京商(現中京大中京)を卒業後、58年に阪神タイガースに入団。投手として活躍し、60年5月15日の巨人戦で初勝利をマーク。この年に13勝を挙げた。66年に西鉄に移籍。翌年、現役を引退。
 現役生活は実働10年で、216試合に登板。28勝38敗。16完投、4完封で377奪三振。通算投球回数は693回1/3で防御率2・86。
 退団後は14年間の新聞記者生活を送る。球団の営業担当などを歴任し、阪神の球団広報に。吉田義男氏(日刊スポーツ客員評論家)が3度目の監督に就任した時は広報部長。大物外国人グリーンウェル(レッドソックス→阪神)が「神のお告げ」で途中帰国したときの対応に苦慮。「あの年は、なかなかしんどかったですなあ」と振り返る。星野監督には、シーズン中の記者とのお茶会を進言。「あれだけ気の利く監督でしたから。広報の私は必要ないですな、と言ったこともありましたよ」。激しいスクープ合戦を繰り広げる虎番記者と、監督や選手との調整に手腕を発揮した。長い記者生活のキャリアを生かした名物広報ぶりに、お世話になった虎番は多数。
 現阪神タイガースOB会副会長。

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