2009年8月06日
支配下選手に登録
~阪神・野原祐也選手~
今、タイガースのファームで、気持ちの上で一番乗っている選手といえば、野原祐也選手(24)だろう。今季育成ドラフト1位で入団。背番号「123」を背負って頑張ってきた。努力のかいがあり、7月26日念願の支配下登録選手に。身長177センチ、体重83キロで、右投げ左打ち。ややズングリムックリの体型は、西武の“おかわりクン”中村剛也タイプだが、足は結構速い。昨年発足したBCリーグでは首位打者と本塁打王の2冠に輝いたスラッガー。オールスター明けには、1軍の全体練習に指名参加。即昇格とはいかなかったが、期待の新人だ。
真夏日。炎天下。うだるように暑い。4日鳴尾浜球場へ取材に行った。クーラーの効いた部屋から出たくない心境だが、話を聞かないわけにはいかない。グラウンドに1歩足を踏み入れた途端、灼熱(しゃくねつ)の太陽が容赦なく照りつける。われわれ年寄りにはこたえるが、野原祐にはあまり関係ないようだ。外野で右に左に打球を追っている。気持ちが乗っているから動きはいい。チームのバッティング練習が終わるとバッティングケージ近くまできてボールを集める。汗びっしょりだが、笑顔が出る。今の心境を聞いてみると「下手クソな僕を、これまで支えてきてくれたまわりの人に感謝しています」だった。今は故人になってしまったが、元2軍監督の島野育夫さんがよく「どんな人でも、何をするにしても1人では絶対できない。人間、感謝の気持ちを忘れたらいかん」とよく口にしていたが、野原、さすが独立リーグまで経験した苦労人の発言だ。
オリックス戦。センター前、ライト前と2本のヒットを放った。調子はいいようだが、無死で中前打した2回、盗塁を試みたが完璧なアウト。2本目のヒットでも暴走と思われる走塁があった。いずれも前向きな姿勢は買えるが、試合には流れがある。ひとつのミスがゲームの流れを大きく変えてしまう。「真面目で、一生懸命野球に取り組んでいるのはよくわかりますが、まわりが見えていないんですよね。例えば、カウント1-3からヒットエンドランのサインを出しますと、完全なボール球にまで手を出してしまう。ワン、スリーなんですから、見送れば四球で、走者も次の塁に進める。絶対に手を出したらいけない球なのに、振ってしまうんですよ。そこらへんですね。いい意味での遊びがあってもいいぐらいです」。平田2軍監督である。1軍昇格。まだ少々時間がかかりそうだ。
8月5日現在、145打数、45安打。打率は・310の好成績。バッティングを担当する八木コーチは「バッティング面では、速い球にも対応できますし、1軍のピッチャーでも大丈夫だと思いますが、相手がその時に考えていることを読めるようになってほしい。例えば、この打席、相手は本当に勝負にきているのか、それとも、歩かせていいつもりで投げているのか。などの判断ですね。今は何も考えていないように見える」と言う。まだ1軍レベルには到達していないようだが、今の気持ちを忘れない限り道は開ける。技術の向上に近道はない。自分自身がもどかしくなる時もあるだろうが、ただ、ひたすらやり続けるしかない。
支配下選手登録で1軍の試合に出場できるようになった。巨人のリリーバー・山口とか、松本外野手も育成選手から登り詰めた。タイガースでは昨年のバルディリスに続いて2人目だが、日本人選手では初。「まだやることはいっぱいあります。そのためには、今まで通り一生懸命練習していくことが1軍への道だと思います。バッティング、フィールディングのレベルアップは当然のことですが、すべての面で成長していかないと目標は達成できないと思います。死に物狂いで頑張ります」(野原祐)。プロ野球選手になりたくて独立リーグへ飛び込んだ。そして、今、やっとプロ野球選手になれた。これで満足してはいけない。これからがスタートであることを肝に銘じて野球に取り組め。
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- 本間勝(ほんま・まさる)
- 1939年(昭14)5月1日生まれ。愛知県出身。中京商(現中京大中京)を卒業後、58年に阪神タイガースに入団。投手として活躍し、60年5月15日の巨人戦で初勝利をマーク。この年に13勝を挙げた。66年に西鉄に移籍。翌年、現役を引退。
現役生活は実働10年で、216試合に登板。28勝38敗。16完投、4完封で377奪三振。通算投球回数は693回1/3で防御率2・86。
退団後は14年間の新聞記者生活を送る。球団の営業担当などを歴任し、阪神の球団広報に。吉田義男氏(日刊スポーツ客員評論家)が3度目の監督に就任した時は広報部長。大物外国人グリーンウェル(レッドソックス→阪神)が「神のお告げ」で途中帰国したときの対応に苦慮。「あの年は、なかなかしんどかったですなあ」と振り返る。星野監督には、シーズン中の記者とのお茶会を進言。「あれだけ気の利く監督でしたから。広報の私は必要ないですな、と言ったこともありましたよ」。激しいスクープ合戦を繰り広げる虎番記者と、監督や選手との調整に手腕を発揮した。長い記者生活のキャリアを生かした名物広報ぶりに、お世話になった虎番は多数。
現阪神タイガースOB会副会長。
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