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2009年7月16日

救世主になれ

~阪神・石川俊介投手~

 ウエスタン・リーグ。今年のタイガースは7月15日現在、36勝23敗で堂々と首位を走っている。投、打の個人成績に目を向けてみる。打撃ベストテン。バルディリスがトップ。続いて新人で足の速い柴田がいる。5位には坂だ。投手の防御率に至っては蕭、石川、小嶋の3人が1、2、3位を占めているではないか。低迷する1軍を救うのは“新しい力”だ。新戦力の台頭。好成績を挙げているこの若手の中から、誰かチームの活性化を担う、生きのいい選手が出現しないものか。その候補を石川俊介投手(23)に絞ってスポットを当ててみた。

 なぜ石川か、言うまでもない。石川は昨年の終盤、巨人に猛追された厳しい戦いの中で先発。2勝を挙げているピッチャーだ。当然、今年も大いに期待された。開幕当初は1軍のベンチ入りをしていた。ローテーションの一角に食い込むほどの存在だったが、力足らず、現在はファームで再度の1軍昇格を目指して頑張っている。2軍落ちした時のテーマを石川は「もっと、いつも、どっしり落ち着いて投げれるようにしたい」だった。このテーマを乗り越える手段は自信だ。大いに経験を積み、そこで結果を残して自身をつけることだ。

 いまは、セットアッパーとして登板する機会が多い。先発タイプだと思っていたが、その狙いを中西ピッチングコーチに聞いてみた。「『俺は先発投手だ』というこだわりを持つことは、成長する過程では目標があっていいことだと思いますが、いろいろな体験というか、リリーフも経験をしておけば、それだけ登板するチャンスが多くなるし、1球の大切さも勉強できる。先発した時と、リリーフした時では気持ちの持ち方は全然違いますからね。それに1軍へ上がった時、必ずしも先発させてくれるわけではありません。昨年の場合でも、リリーフで何試合かいい結果を残し、信頼を得てはじめて先発させてもらったわけですから」。その通りである。はじめから先発することはまずない。昨年は1軍にいた同コーチだ。その辺の事情はよくわかっている。

 首脳陣の信頼を得るためには、いかなる場面で登板してもいいピッチングをしなくてはならない。そのための用意だった。石川は「リリーフですか…。後半に、1点もやれない場面で登板しますので、確かに1球の大切さはよくわかりますねえ」と言う。いい経験をしているようだ。そして、現在心掛けていることは「変化球を投げる時は、意識して腕を強く振るようにしています。それにフォームでは、腕を強く振るところまで、いかに力を抜いて、スムーズに体重移動させるかを心掛けています。まだまだ余分なところに力が入ってしまいますからね」。欲をいえば、もう少し球速があればと思うが、それは、これからの練習しだいで変わってくる。腕は良く振れている。足腰を鍛え、体の切れが良くなれば、力のある球が投げられる。

 ウィリアムスのテスト登板があって、14日は登板する機会がなかったが、次の日も勝ち試合。注目して見ていると、8回、やはりセットアッパーとしてマウンドへ。先頭打者に四球を与える最悪のスタートだったが、次のバッターを二ゴロの併殺。「どっしり、落ち着いたピッチング」のテーマはしっかりできていた。試合後、外野を黙々と走る石川がいた。2軍落ちした直後は「ここは、2軍じゃないか」。精神的に投げやりになったこともあったようだが、もう立ち直っている。1軍で勝ち星を挙げた経験があるのは強い。「いまは、ファームでいいピッチングをして、声がかかるのを待つだけです」(石川)。力をつけるためには努力しかない。チームは新しい力を必要としていることを肝に銘じて練習せよ。


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ウエスタン一番星
本間勝(ほんま・まさる)
 1939年(昭14)5月1日生まれ。愛知県出身。中京商(現中京大中京)を卒業後、58年に阪神タイガースに入団。投手として活躍し、60年5月15日の巨人戦で初勝利をマーク。この年に13勝を挙げた。66年に西鉄に移籍。翌年、現役を引退。
 現役生活は実働10年で、216試合に登板。28勝38敗。16完投、4完封で377奪三振。通算投球回数は693回1/3で防御率2・86。
 退団後は14年間の新聞記者生活を送る。球団の営業担当などを歴任し、阪神の球団広報に。吉田義男氏(日刊スポーツ客員評論家)が3度目の監督に就任した時は広報部長。大物外国人グリーンウェル(レッドソックス→阪神)が「神のお告げ」で途中帰国したときの対応に苦慮。「あの年は、なかなかしんどかったですなあ」と振り返る。星野監督には、シーズン中の記者とのお茶会を進言。「あれだけ気の利く監督でしたから。広報の私は必要ないですな、と言ったこともありましたよ」。激しいスクープ合戦を繰り広げる虎番記者と、監督や選手との調整に手腕を発揮した。長い記者生活のキャリアを生かした名物広報ぶりに、お世話になった虎番は多数。
 現阪神タイガースOB会副会長。

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