2009年6月11日
これぞ一番星
~阪神・西村憲投手~
タイガースのウエスタン・リーグ公式戦。今週も鳴尾浜球場での試合はない。取材がなかなか思うに至らない。チームの動向をうかがいながら、やっとインタビューができた。と思ったら、なんとその選手が1軍へ昇格。OBの私としては非常に喜ばしいことだが、このブログのタイトルが“ウエスタン一番星”。過去、1軍昇格選手を取り上げたことはない。このまま出筆するなら、タイトルから逸脱しないか。しばし考え込んだが、チームはいないので取材は無理。さらに熟慮してみると、阪神タイガースのルーキーでは1軍昇格一番乗り。これぞ、まさしく本当の“一番星”ではないか。悩むことはない。1軍デビューは無安打、1奪三振。1イニングではあったが、堂々のピッチング内容。大きな期待を寄せて出筆することにした。
西村憲投手(22)。今季ドラフト4位で九産大から入団。身長182センチ、体重80キロ。恵まれた体格の本格派右腕。
ファームの試合では、初登板からすべて中継でのマウンド。短いイニングのピッチングだが、内容が素晴らしい。思いっ切りがいい。腕はよく振れている。コントロールにさほどのばらつきはない。速球は打者の手元でホップする。生きた球だ。「中継ぎなら、早い時期に1軍で使える」。こう見た首脳陣の方針で一貫してリリーフ登板。「初めのうちは点差が開いた試合で投げていましたが、徐々に厳しい場面での登板機会が多くなり、認めてもらえるようになったのだ、と思うとやはりうれしかった」(西村)。目下、ウエスタンの成績は17試合に登板(チーム最多)して0勝1敗。18回3分の1を投げて20奪三振。防御率は1・96。ピッチング内容が認められた結果の起用だ。
中西ピッチングコーチの見方はこうだ。「西村の一番いいところは、バッターに向かっていけることですね。腕は振れているし、試合でも結構強い球を投げている。セットアッパーとしてなら、意外に早く1軍で使えると思ってリリーフで起用している。あとはフォークですね。フォークがもう少し低めにコントロールできるようになれば十分通用すると思いますよ。もうすぐ上へあがるでしょう」である。この話を聞いたのが今月の2日。その3日後には1軍へ。ウエスタンでの内容はいい。おそらく、あの時点でチームが甲子園へ帰ったときの昇格は決まっていたのだろう。
己をしっかり見つめているのもいい。西村は自分の現状を「僕の場合、今以上速い球を投げるのは無理だと思いますので、生きた球、強い球を投げられるようにしたい。それとやはりコントロールですね。ファームでも1球の怖さを経験しました。コントロールミスした球は、だいたいヒットゾーンへはじき返されています。ファームでも甘い球は危ないわけですから、1軍はもっともっと厳しいでしょう。やっぱりコントロールは大事ですよね」と採点している。現状に満足していない。まだ新人だ。足腰を鍛えていけば球速アップは間違いない。常に前を向いて、何事にも挑戦していくことだ。
8日の初登板。緊張するのは当然だが、物怖じした様子は全くなかった。敗戦処理とはいえ、若手のチャンスはこういう試合でいいピッチングを積み重ねていくことしかない。首脳陣の信頼を得る場でもあり、信頼を得ることによって登板機会が大差の試合から僅少差に。そして、勝ちゲームへとかわっていく。だから、若手にとって敗戦処理であってもおろそかにできない。「腕の振りは、自然に振れるようになりましたが、今、コーチから注意されているのは、変化球を投げるときに腕の振りが鈍くなることです。これは絶対に直さないといけません」。本人の話だが、まさに、その通り。球種が分かって致命傷になりかねない。すでに解消されつつあるので大丈夫のようだが、最後に西村に自分の性格をたずねてみた。即座に「負けず嫌いです」の答え。バッターにどんどん向かっていけるピッチングはこの性格にある。頼もしい新人だ。
現在のセットアッパーはアッチソン。ウィリアムスの両外国人で賄っているが、確立されていた強力リリーフ陣、JFKの一角が崩れた。そのKの穴を“N”で埋める存在になれ。
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- 本間勝(ほんま・まさる)
- 1939年(昭14)5月1日生まれ。愛知県出身。中京商(現中京大中京)を卒業後、58年に阪神タイガースに入団。投手として活躍し、60年5月15日の巨人戦で初勝利をマーク。この年に13勝を挙げた。66年に西鉄に移籍。翌年、現役を引退。
現役生活は実働10年で、216試合に登板。28勝38敗。16完投、4完封で377奪三振。通算投球回数は693回1/3で防御率2・86。
退団後は14年間の新聞記者生活を送る。球団の営業担当などを歴任し、阪神の球団広報に。吉田義男氏(日刊スポーツ客員評論家)が3度目の監督に就任した時は広報部長。大物外国人グリーンウェル(レッドソックス→阪神)が「神のお告げ」で途中帰国したときの対応に苦慮。「あの年は、なかなかしんどかったですなあ」と振り返る。星野監督には、シーズン中の記者とのお茶会を進言。「あれだけ気の利く監督でしたから。広報の私は必要ないですな、と言ったこともありましたよ」。激しいスクープ合戦を繰り広げる虎番記者と、監督や選手との調整に手腕を発揮した。長い記者生活のキャリアを生かした名物広報ぶりに、お世話になった虎番は多数。
現阪神タイガースOB会副会長。
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