2009年6月04日
野球知識を高めよ
~阪神・柴田講平外野手~
5月、鳴尾浜球場で試合がなかった。取材の拠点にしている私には、実に不便な1カ月だった。何とか穴を開けずに切り抜けたが、そんな中、練習日があると聞いて、久しぶりに同球場をのぞいてみた。ウエスタン・リーグで首位を行くタイガースだ。さすがに活気がある。午後からは紅白戦が行われた。上園が、石川が、蕭がマウンドに上がった。野手では一時ファームに下りていた葛城がいたが、プレーのみならず、午前中から目立っていたのは新人の柴田講平外野手(22)。今シーズン、ドラフト2位で国際武道大から入団した、左投げ左打ちの選手。175センチ、77キロ。どちらかといえばスマートなプレーヤー。しばらく見ないうちに頭を丸坊主に。何か期するものがあったのか-。
千葉県の大学リーグ戦で2度、首位打者に輝いた。足も速い。50メートルのタイムは5・7秒。アマチュア時代の成績は申し分ない。ちょっと気になるのは、同リーグの野球のレベルだ。プロ球界で即戦力となるだけの高いレベルなのか。それとも…。シーズン当初は、2軍戦でもスタメン出場は少なかった。やはり力不足だと思わざるを得なかったが、ここへきてメキメキ力をつけてきた。特にバッティング、目を見張るものがある。6月3日現在の成績を見ればひと目で分かる。23試合に出場。52打数、21安打で打率は・404。盗塁の2は物足りないが、頭角をあらわしてきた。
成長の源は熱心な練習にあった。今や野球漬け。好調の原因を聞いてみると、柴田は「初めのうちはいい結果が出なかったし、ゲームにもあまり出られませんでしたので“ナニクソ”という思いでかなり打ち込みました。ヒットが打てるようになったのは、数多く打ったおかげだと思います。そういう意味でこの合宿所の環境は、本当に恵まれています。ありがたいですね。夜でもマシン相手に打てますし、これからも続けていきます」という。このやる気が柴田を変えた。指導にあたってきた八木バッティングコーチも「調子が上がってきたのは、数多く打ったからでしょう。打ち込んだことが結果につながっていますね」と努力を認めている。人より上手くなるためには、やはり人に負けない練習量をこなすしかない。柴田はそれを実証している。
その日の紅白戦では2安打を放ち、盗塁も決めた。バットの振りはシャープだ。調子はいい。そこで、気になっていた“丸坊主”になった心境を質問してみた。何か期するものが…。興味津々、返事を待っていると、まず照れ笑い。ニヤッとするだけで、どうも言いにくそうだ。照れたまんまの表情で、少々間隔をおいて口を開いた。「実を言いますと、ゲームなど、いろいろとよくミスをしますので頭を丸めました。状況判断が悪いんです」。姿勢を正すための丸坊主だった。タイプからして、ミスは許されない選手。肝に銘じているから大丈夫だろう。
目指す1軍は近づいてはいるが、1軍ではミスは許されない。ひとつのミスが敗戦につながる。もっと、もっと野球知識を高めてほしい。豊富な野球知識を身に付けることだ。マイナス思考になるな。野球は失敗から学ぶことが多い。八木コーチは「ちょっとミスの多い選手だが、打ったあと、一塁まで走るのが速いんですよ。内野安打を稼げるバッターなので、いいところを生かした野球をすることですね」といいセンスの持ち主であることを認めている。発展途上の選手。今、レベルアップに加速がついている。打撃、守備、走塁、すべての高度な技術を吸収するのが今だ。どん欲に野球を覚えるときだ。「今のテーマといえば、ミスをなくすことですね。僕の場合、盗塁も含めて、走塁のミスは少なくするのではなく、ゼロにしないといけません」(柴田)。豊富な知識はピンチを救うという。常に研究心は旺盛であれ。今、大きく成長するチャンスだ。
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- 本間勝(ほんま・まさる)
- 1939年(昭14)5月1日生まれ。愛知県出身。中京商(現中京大中京)を卒業後、58年に阪神タイガースに入団。投手として活躍し、60年5月15日の巨人戦で初勝利をマーク。この年に13勝を挙げた。66年に西鉄に移籍。翌年、現役を引退。
現役生活は実働10年で、216試合に登板。28勝38敗。16完投、4完封で377奪三振。通算投球回数は693回1/3で防御率2・86。
退団後は14年間の新聞記者生活を送る。球団の営業担当などを歴任し、阪神の球団広報に。吉田義男氏(日刊スポーツ客員評論家)が3度目の監督に就任した時は広報部長。大物外国人グリーンウェル(レッドソックス→阪神)が「神のお告げ」で途中帰国したときの対応に苦慮。「あの年は、なかなかしんどかったですなあ」と振り返る。星野監督には、シーズン中の記者とのお茶会を進言。「あれだけ気の利く監督でしたから。広報の私は必要ないですな、と言ったこともありましたよ」。激しいスクープ合戦を繰り広げる虎番記者と、監督や選手との調整に手腕を発揮した。長い記者生活のキャリアを生かした名物広報ぶりに、お世話になった虎番は多数。
現阪神タイガースOB会副会長。
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