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2009年5月14日

曲者になれ

~広島・小窪哲也内野手~

 ファーム選手とは、ひと味違う。ひとつひとつのプレーに落ち着きがある。広島・小窪哲也内野手(24)。PL学園-青学大のエリートコースを経て入団。今季2年目の若手なのに、どう見てもファームの選手とは思えない。そこで、今年度のプロ野球選手名鑑に目を通してみた。昨年、新人ながら1軍である程度働いていた記憶はあるが、成績を見てビックリ。出場試合数だけで、私の勉強不足が露呈した。なんと98試合。うち、スタメンが84。要するに1軍選手といっていい存在なのだ。

 実戦の勘を取り戻すためのファーム落ち。5月14日現在、5試合に出場しただけでまだ日は浅いが、大したもの。成績は17打数6安打で打率は・353。四球を4つ選んでいるので、出塁率は持ち味を十分に発揮して・478と高い。身長175センチ、体重78キロ。この世界では小柄なタイプ。先日(5日)甲子園球場で行われたウエスタンリーグ、阪神-広島戦。タイガースは左肩痛が癒えた岩田が先発。2イニング投げて被安打1という好投した試合。広島のその唯一のヒットを放ったのは、いうまでもない。そう小窪だった。なんなく中前へはじき返した。

 存在感を見せ付けた一打だったが、私は、それ以上に、ファームにいる意味を心得たプレーをしているのに感心した。「今年は1軍にいても、あまりゲームに出るチャンスがなかったので、試合に出してもらっていい勉強をしています。今はゲームに出て実戦面の勘を取り戻す場だと思っていますし、自分のやるべきことを心掛けてやっています。2軍には、これといったテーマを持ってきたわけではありませんが、実戦で自分に与えられた役割をしっかり身につけておくことだと思っています。だから、その場面に応じたプレーを自分なりに考えてやるようにしています」。小窪の話である。彼に与えられた使命は、ただ打つだけではない。粘って粘って四球を選ぶなど、どんな形であれ出塁することが役目だ。他球団からいやがられる選手になることが望まれている。

 5日の試合がセカンド。6日はショート。両ゲームとも3番でスタメン出場。両守備位置を守らせたのも、実戦の勘を取り戻すための起用だ。山崎2軍監督に、ファームにきた小窪への注文を聞いてみると「いや、別に注文はつけていません。彼の場合、注文をつけなくても、自分の立場を考えて、ちゃんとその場面の仕事をしてくれています。ファームに下りてきていますが、調子を取り戻すとかではなく、実戦経験を積んでおくことの方が大事ですね」。もう、2軍扱いはしていない。こういう選手は、いつ1軍から声がかかってもいいように、調子を整えておくのがファーム首脳陣の大事な仕事。

 1軍の存在といえども、今2軍にいる以上ファームでいい結果を出すことが昇格の条件。豊富な知識を持っているタイプだが、持っている知識は実践しなくては価値がない。その知識を実践するための確認期間だ。準備(練習)しておけば、いつ、どこで、何が起こっても慌てることはない。本人も「いつ、上から呼ばれてもいいように準備しておきます」と自分に言い聞かせていたが、準備したからといって、必ず好結果を出せる保証はない。だから練習は厳しいものだが、準備なくしていい結果が得られないのも確か。問題は気持ちの持ち方だ。克己を持って練習するしかない。努力あるのみ。努力するプロセスを重視することによってついてくるのが結果だ。1軍定着の条件。当たり前のことを、当たり前にできる選手になることだ。


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ウエスタン一番星
本間勝(ほんま・まさる)
 1939年(昭14)5月1日生まれ。愛知県出身。中京商(現中京大中京)を卒業後、58年に阪神タイガースに入団。投手として活躍し、60年5月15日の巨人戦で初勝利をマーク。この年に13勝を挙げた。66年に西鉄に移籍。翌年、現役を引退。
 現役生活は実働10年で、216試合に登板。28勝38敗。16完投、4完封で377奪三振。通算投球回数は693回1/3で防御率2・86。
 退団後は14年間の新聞記者生活を送る。球団の営業担当などを歴任し、阪神の球団広報に。吉田義男氏(日刊スポーツ客員評論家)が3度目の監督に就任した時は広報部長。大物外国人グリーンウェル(レッドソックス→阪神)が「神のお告げ」で途中帰国したときの対応に苦慮。「あの年は、なかなかしんどかったですなあ」と振り返る。星野監督には、シーズン中の記者とのお茶会を進言。「あれだけ気の利く監督でしたから。広報の私は必要ないですな、と言ったこともありましたよ」。激しいスクープ合戦を繰り広げる虎番記者と、監督や選手との調整に手腕を発揮した。長い記者生活のキャリアを生かした名物広報ぶりに、お世話になった虎番は多数。
 現阪神タイガースOB会副会長。

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