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2009年4月23日

大先輩の下へ

~阪神・上本博紀内野手~

 金本が高校(広島・広陵)の大先輩。大学(早大)の先輩は鳥谷。チームの3番、4番の重責を担う、打線のポイントゲッター。偉大な2人の先輩の下へ、大きな夢を抱いて弟子入りしたのは、今季ドラフト3位、早大からタイガースへ入団した上本博紀内野手(22)。身長173センチ、体重70キロ、小柄で両先輩とタイプは全く違うが、現在ファームで野球漬けの毎日。20日現在の成績は全13試合に出場。41打数11安打は打率・268。打点の10はチーム2位。意外に勝負強い。目下、1軍昇格を目指して日夜、猛練習中だ。

 広陵-早大。野球のエリートコースを歩んできた。高校では全国大会(甲子園)に4回出場。2年春には優勝を経験。大学では、最上級生になるとキャプテンとしてチームをまとめた。リーグ戦では史上27人目、通算100安打を記録。1年春から全104試合フルイニング出場。素晴らしい実績の持ち主。キャンプ、オープン戦時には、即戦力の声がかかったが「まだ、すべてに力不足です」と上本は歯を食いしばって頑張っている。

 19日、クラブチームとの試合をのぞきに行った。ゲーム内容には見るべきものはなかったが、試合の反省ミーティングと、反省のプレーを繰り返したあと、グラウンドでの選手の動きを見ていると、目を見張る動きがあった。厳しいファームならではの特守が始まったのだ。挑戦者は注目していた上本。ノッカーは筒井守備担当コーチ。捕球の基本を重点にした反復練習。イージーな打球を、基本どおりのしっかりした捕球をして、送球の体勢に入るまでの動作。何十球、何百球と同じことの繰り返し。選手にとっては、何の変化もなく、全く面白みのない練習だが、絶対身に付けないとこの世界で生き抜いていけないプレー。まずはショートの守備位置で200~300本。それが終わると、今まで使用したボールを拾い集めて、今度はセカンドの守備位置で同数の打球を捕球する。ノッカー、選手とも汗びっしょりになっての練習だった。

 「アマチュア時代、あまりこういう練習をしたことがありませんので、いい勉強をしています」。上本の話だが、筒井コーチに聞いてみるとこうだ。「今日は400から600は打っているでしょう。上本の場合、難しい打球はうまくさばくんですが、基本がしっかり身に付いていないので、こういう練習を取り入れています。現状に基本がプラスされれば、もっと、よりレベルの高いプレーができるようになりますから」である。大いにやるべき練習だ。

 バッティング担当の八木コーチに、1軍レベルから見た上本を語ってもらった。「はっきり言いますと、現段階では1軍の控え選手まで達していません。だけどいいものは持っていますので、経験を積めば昇格できますね。ただ、小柄な選手ですから、もっといやらしいバッターにならないと」。厳しい見解を口にしたが、期待が大きければ大きいほど厳しい見方をするものだ。実戦タイプである。それほど時間はかからないはずだ。

 目指す1軍。先輩たちが待っている。「とにかく雲の上の人ですから、先輩をあまり意識したことはありませんが、同じ舞台でプレーをして、チームの勝利に貢献したいという願望はあります。目指すのは確かに1軍ですが、今の僕はすべてが勉強ですし、このファームで結果を出すことを考えてやっています」。立場をわきまえている。この世界、まだまだ縦社会だ。両先輩を前にしたら直立不動。人一倍の気遣いが必要だが、半面、後輩のことを気に留めてくれているのは間違いない。1軍昇格を果たしたならば、温かく迎えてくれるはずだ。その前に忘れてはならないのは、技術向上に近道はないこと。成長は努力の積み重ねであること。


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ウエスタン一番星
本間勝(ほんま・まさる)
 1939年(昭14)5月1日生まれ。愛知県出身。中京商(現中京大中京)を卒業後、58年に阪神タイガースに入団。投手として活躍し、60年5月15日の巨人戦で初勝利をマーク。この年に13勝を挙げた。66年に西鉄に移籍。翌年、現役を引退。
 現役生活は実働10年で、216試合に登板。28勝38敗。16完投、4完封で377奪三振。通算投球回数は693回1/3で防御率2・86。
 退団後は14年間の新聞記者生活を送る。球団の営業担当などを歴任し、阪神の球団広報に。吉田義男氏(日刊スポーツ客員評論家)が3度目の監督に就任した時は広報部長。大物外国人グリーンウェル(レッドソックス→阪神)が「神のお告げ」で途中帰国したときの対応に苦慮。「あの年は、なかなかしんどかったですなあ」と振り返る。星野監督には、シーズン中の記者とのお茶会を進言。「あれだけ気の利く監督でしたから。広報の私は必要ないですな、と言ったこともありましたよ」。激しいスクープ合戦を繰り広げる虎番記者と、監督や選手との調整に手腕を発揮した。長い記者生活のキャリアを生かした名物広報ぶりに、お世話になった虎番は多数。
 現阪神タイガースOB会副会長。

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