2008年6月20日
急きょの大役
~サーパス・古屋英夫監督~
古屋英夫(52)-。コリンズ監督の突然に辞任表明で、急きょファームの監督を任命された。降ってわいたような監督交代劇。目の前で起こった思いもよらぬ出来事。気持ちの整理などしている間はなかった。ましてや、サーパス(オリックス)のユニホームを着たのは今季から。コーチングスタッフの編成上、要請を受けざるを得ない立場にあったが、チームの将来を担う大役。やりがいはあるだろうが、気の休まる暇は皆無に等しい役目。17、18日の阪神戦。鳴尾浜球場で若手の指導に精力的に動き回る古屋監督の姿があった。
1992年、阪神タイガースを最後に現役を引退した。亜細亜大出身。ドラフト2位で日本ハムに。実働15年(日ハム13年、阪神2年)。成績は1521試合に出場。5143打数1406安打。打率は・273。180ホーマーの686打点。立派な成績の持ち主だ。特に1981年には全試合(130)に出場。打率・290、73打点をマーク。リーグ優勝に大きく貢献した。タイトルは最多勝利打点を1回。ゴールデングラブ賞には4度輝いている。現役引退直後、再び日本ハムに復帰。ファームのコーチとしてユニホームを着ている。
ファームの指導者を体験している。ならば今回の大役に役立つはず。そう思って同監督に質問してみると、意外や「あの時はですねえ。自分がプロ入りした年から、そこそこやっていたし、どうしても上から選手を見てしまったというか、なんでこんな事ができないのか。このぐらいはできて当たり前だろう。という誤った考え方で指導してしまったんですよ。だから、教訓にはなっていますが、今の立場(2軍監督)は、スカウトをさせていただいたことの方がプラスになっていますね」。スカウトをして新人の力がわかるようになった。過去を振り返りながら、こう話してくれたが、温厚で包容力のある監督だ。その手腕に期待したい。
試合前の古屋監督。バッティングケージの後ろで、選手の指導をしていたかと思えば、いつの間にかバッティングピッチャーをやっている。まだまだ若い。動けるのは強みだ。選手と一緒になって練習することによって説得力も出てくる。「中村さん(球団本部長)から、勝ち負けは別にしてファームの指揮をとるように言われまして引き受けましたが、やはり選手というのは、勝ちゲーム、仮に負けても接戦のゲームから育ってくるものだと思っています。中村さんは、あまりプレッシャーをかけないように声をかけてくれたんでしょうが、勝つ事を前提にいい試合をやっていきたいと思っています」。根気と我慢。信念と愛情。辛抱強く指導するのが、ファーム首脳陣のあり方だ。
若手の育成も然る事ながら、ファームとはいえ、根底にあるのはやはり1軍である。若い選手を起用しようと思っても、1軍の選手が調子を落として調整にきた時は、若手を犠牲にしてでも、その選手の起用が優先する。本意ではないが、こうした矛盾はこの世界では当たり前。思い通りにならない事は数多く出てくる。板挟みになる事はあるだろう。ジレンマに陥る時もあるはずだ。こういう時、役に立つのが過去の経験だ。10年以上レギュラーを張ってきた男。ストレスをはねのけるパワーを持ち合わせている。若い力が巣立った時、すべてが報われる。
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- 本間勝(ほんま・まさる)
- 1939年(昭14)5月1日生まれ。愛知県出身。中京商(現中京大中京)を卒業後、58年に阪神タイガースに入団。投手として活躍し、60年5月15日の巨人戦で初勝利をマーク。この年に13勝を挙げた。66年に西鉄に移籍。翌年、現役を引退。
現役生活は実働10年で、216試合に登板。28勝38敗。16完投、4完封で377奪三振。通算投球回数は693回1/3で防御率2・86。
退団後は14年間の新聞記者生活を送る。球団の営業担当などを歴任し、阪神の球団広報に。吉田義男氏(日刊スポーツ客員評論家)が3度目の監督に就任した時は広報部長。大物外国人グリーンウェル(レッドソックス→阪神)が「神のお告げ」で途中帰国したときの対応に苦慮。「あの年は、なかなかしんどかったですなあ」と振り返る。星野監督には、シーズン中の記者とのお茶会を進言。「あれだけ気の利く監督でしたから。広報の私は必要ないですな、と言ったこともありましたよ」。激しいスクープ合戦を繰り広げる虎番記者と、監督や選手との調整に手腕を発揮した。長い記者生活のキャリアを生かした名物広報ぶりに、お世話になった虎番は多数。
現阪神タイガースOB会副会長。
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