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2008年5月29日

野球との戦い

~阪神・清水誉捕手~

 ポスト矢野。簡単なことではないが、あまり時間はないのが現状だ。期待したいのは、今季2年目を迎えている清水誉捕手(24)である。地元、関西学院大から入団。今、ファームで基本を身に付け、大事な実戦の経験を積んでいる。矢野と比較してみる。捕手として、すべてにおいて足元にも及ばないだろう。勝てるとしたら若さだけかも。厳しい表現をしたがこれが現実だ。が、成長過程の選手には、“若さ”ほど強いものはない。誰もがここからのスタートだ。矢野にしても、現在の地位を確保したのはタイガースに移籍してからだ。中日時代、バッティングを生かして外野転向といわれた時期もあったという。苦しみを乗り越えたからこそ今がある。清水よ、今は野球と正面から向き合う時だ。

 野球は奥が深い。わかればわかるほど次々と壁にぶち当たる。特にキャッチャー。自分の事だけしか考えないようでは定位置確保は無理。自チームの投手、相手チームの打者、試合の状況判断などを常に頭に置いておく必要がある。頭の中がパニックになる事もある。「言われるとおりで、野球が難しくなってきているのは確かです。ゲーム中でもいろいろなケースが頭をよぎるんです。いい事も、悪い事も。集中力が途切れそうになる時もありますが、自分の力不足でピッチャーに迷惑をかけるわけにはいきません。緊張感を持って試合に挑んでいます」。何事も経験だ。それがキャッチャーである。

 若手捕手を育てるために、今年からファームのコーチに転向。体を張って指導に当たっているのは嶋田バッテリーコーチ。現役時代は強気のリードで定評があった。気性の激しい人物でもあった。「野球が難しくなってきたのは確かでしょうが、その局面から逃げていては何にも身に付きません。正面からぶつかっていろんな事を体験することですね」。まだ物足りないだろうが、指導者も選手の育成から逃れるわけにはいかない。試合後であっても容赦なく鍛える。「わかりやすい投手リードといいますか、基本のリードからのスタートです」。基本をおざなりにはできないポジション。しっかりたたき込む必要があるからだ。

 オリンピック・星野日本代表監督が指揮を執った20日の試合でマスクをかぶった。28日、鳴尾浜球場で行われたクラブチームとの交流戦でも先発出場。右中間二塁打、右前打、左翼線二塁打と3安打を放ち、守っても6回まで1失点のリード。身に付く体験をしている。もう捕手としての役割はすべて頭に入っているはずだが、満足できる試合といえばわずかしかない。そんなもどかしさとの戦い。

 「今は、ほとんどがキャッチャーとしての勉強です。やる事はいっぱいあります。壁にぶつかって悩む事もありますが、どうしてもわからない時は経験豊富な嶋田コーチに直接聞くようにしています。とにかく、逃げて済むものではありません。逆に乗り越えてこそ身に付くものだと思っていますので、何でも吸収することを心掛けています」。

 投手から信頼される捕手になれ。ポスト矢野。時間はあまりないが、長足の進歩は、若さの特権でもある。


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ウエスタン一番星
本間勝(ほんま・まさる)
 1939年(昭14)5月1日生まれ。愛知県出身。中京商(現中京大中京)を卒業後、58年に阪神タイガースに入団。投手として活躍し、60年5月15日の巨人戦で初勝利をマーク。この年に13勝を挙げた。66年に西鉄に移籍。翌年、現役を引退。
 現役生活は実働10年で、216試合に登板。28勝38敗。16完投、4完封で377奪三振。通算投球回数は693回1/3で防御率2・86。
 退団後は14年間の新聞記者生活を送る。球団の営業担当などを歴任し、阪神の球団広報に。吉田義男氏(日刊スポーツ客員評論家)が3度目の監督に就任した時は広報部長。大物外国人グリーンウェル(レッドソックス→阪神)が「神のお告げ」で途中帰国したときの対応に苦慮。「あの年は、なかなかしんどかったですなあ」と振り返る。星野監督には、シーズン中の記者とのお茶会を進言。「あれだけ気の利く監督でしたから。広報の私は必要ないですな、と言ったこともありましたよ」。激しいスクープ合戦を繰り広げる虎番記者と、監督や選手との調整に手腕を発揮した。長い記者生活のキャリアを生かした名物広報ぶりに、お世話になった虎番は多数。
 現阪神タイガースOB会副会長。

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