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復刻1998夏 <日刊スポーツで振り返る1998年夏甲子園>

第15回 PL学園死力尽くした

PL学園対横浜 延長11回裏PL学園2死2塁、大西の左前適時打で二塁走者平石洋介が生還しジャンプして大喜びPL学園対横浜 延長11回裏PL学園2死2塁、大西の左前適時打で二塁走者平石洋介が生還しジャンプして大喜び

<横浜9−7PL学園>◇15日目◇8月20日◇準々決勝

 PL学園は死力を尽くして戦い、そして敗れた。

 延長17回表。1死から横浜・小山の打球が左翼フェンスへ真っすぐ伸びる。抜ければ長打。田中一がドンピシャのタイミングでジャンプ、これを捕った。流れは引き寄せたはずだった。が、落とし穴が待っていた。柴の遊ゴロを本橋が悪送球。7回から先発稲田をリリーフした上重聡投手(3年)が常盤に2ランを浴びたのはその直後。「直球です。外側を狙ったボールが中へ入ってしまった」。悪送球さえなかったら…。本橋は「何も考えられない。申し訳ないとしか言えません」と泣きじゃくった。

 今春、準決勝で敗れた雪辱はならなかった。だが、この日の戦いぶりは、甲子園の歴史にくっきりと刻まれた。

 大会屈指の剛腕・松坂からあっさり先制点を奪う。これまで3試合で12安打しか許していない松坂に13安打を浴びせ7点を取った。勝ち越された11回、16回。驚異的な粘りで追いついた。

 11回裏2死二塁。大西が三塁手のグラブをすり抜ける適時打を放つ。打席に入る前、三振に倒れた打者、古畑がささやいた。「頼む、打ってくれ」。その目は潤んでいた。「打ってくるわ」の約束を果たした。「3年間で最高のヒットです」。

 16回は田中一の思い切った走塁で追いついた。1死三塁。本橋の遊ゴロを遊撃手が一塁に送球したせつな、ホームへスタートを切る。「普通に走ってもイチかバチかの勝負でした」。これまでの戦いで疲れ切った両足は、50メートル5秒6のスピードを鈍らせていた。が、165センチの小柄な体に宿る勝利への執念が、横浜守備陣の悪送球を誘った。

 「粘りのPL」の伝統は生きていた。春に敗れた横浜を倒すために重ねた努力。あと一歩で実らなかったが上重は言った。「春からやってきたことは全部出せた」。中村前監督からチームを引きついでいきなり8強進出を果たした河野監督も「よくやってくれた。ありがとうと言いたい」と選手をねぎらった。

 一礼してグラウンドを去る選手に送られた拍手と歓声が、その健闘を十二分に示していた。

(1998年8月21日付日刊スポーツ)

 ※上重投手は立大に進学し東京6大学リーグで完全試合を達成するなど活躍。卒業後は日本テレビのアナウンサーになった。

2008年8月09日 11:00


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