第12回 浜田・和田、帝京倒し8強
帝京対浜田 力投する浜田の和田毅
<浜田3−2帝京>◇14日目◇8月19日◇3回戦
端正な浜田(島根)のエース、和田毅投手(3年)の表情がひときわ輝いた。最後の打者・比佐の打球が力なく三塁手・山岡の前に転がり、一塁へ転送された瞬間だ。左手を突き上げてガッツポーズ。強豪・帝京に勝った。初のベスト8だ。
「本当にうれしいです。攻めの気持ちを忘れなかったのが良かった」。お立ち台で息をはずませる。2年生エースとして甲子園の土を踏んだ昨年、初戦の秋田商戦で9回まで2点をリードしながら、自らの押し出し四球で悪夢の逆転サヨナラ負け。そんな経験が和田を成長させていた。9回2死まで来たとき「守りに入るな」と、何度もつぶやいていた。「どの打者も長打がありそうで怖かった」と言うが、恐れず内角を突き続けた。ビデオで帝京打線を研究。結論は「外角に強く内角に弱い」。それを信じ、バックも信じた。「必ず守ってくれる、点を取ってくれると思っていた」。
野手陣も、それにこたえた。守備は2試合連続の無失策。適時打なしながら3点をもぎ取る。相手の失策でもらった2点のリードは8回表、バックスクリーンへの特大アーチでなくなった。しかし動揺はなかったという。「やっぱりすごいな」「よく打つわ」。マウンドに集まっただれの顔も笑顔だった。その裏、1死満塁から鍛治畑が押し出し死球。「当たってメチャクチャうれしかった」。こんなうれしい痛みは、そうそうない。和田にはくしき因縁。1年前は自分の押し出し四球で涙を流したのに、今年は敵の押し出し死球で笑った。
「うちが帝京に勝って8強なんて悪い気がする」。試合後、和田からウイニングボールをプレゼントされた新田監督も興奮気味。「感激」「感無量」と何度も繰り返し喜びを表現した。これで島根県勢は選手権20勝。8強に唯一残った公立校。まだ何かをやりそうだ。「あすは古木君との対戦ですか。楽しみですね」。和田が笑った。【高木茂久】
◆浜田OB近鉄梨田2軍監督 「いつもは1回戦で負けることが多かったのに、ベスト8入りするなんて。校歌を2度も聞けただけでも夢のようです。きょうの試合は藤井寺球場でTV観戦していたんですが、車の中でもラジオを聞きながら帰りましたよ。(2軍戦の予定がない)月曜日が決勝なら甲子園に行けるかもしれないけど、球場で応援できないのが残念です」
(1998年8月20日付日刊スポーツ)
※和田投手は早大に進学。エースとして大活躍し2002年ドラフト自由枠でダイエー(現ソフトバンク)入り。
2008年8月07日 11:02
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