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コラム <1998−2008 松坂世代・10年の軌跡>

第2回 楽天平石
楽天平石、あの夏から10年が過ぎて…/下

楽天入団後、1軍でプレーする平石楽天入団後、1軍でプレーする平石

 平石は2004年のドラフトで、楽天から7巡目指名を受け、ついにプロ入りの夢をかなえた。高校を卒業して6年が経っていた。すでに23歳。遅い部類のプロ入りといえる。1年目から勝負だが、新天地・楽天でのプロ野球は、これまでとは勝手が全く違う世界だった。

 1年目の石垣島キャンプは気疲れで7キロも痩せた。さらに打撃で悩みが生じた。「社会人野球までは、自分で考えて、良くも悪くも噛みくだくことができた。でも、プロに入ったら、教わったことを理解できてないのにやってしまう形になった」。多くの人からのアドバイスをすべて聞いてしまっていた。「一生懸命教えてくださるから」と聞き流すことはできなかった。

 1年目は25試合に出場したものの、打率1割7分8厘。田尾監督から野村監督に代わった2年目は、わずか2試合の出場に終わる。そして3年目の昨年は、ついに1試合も出場できないまま終わった。4年目の今季も6月が過ぎたが、まだ1軍昇格の知らせは来ない。

 だが、平石はけっして腐ってはいない。

 「10年前、横浜高校と対戦した時には、ケガをして思うように野球ができない自分が不甲斐なかった。でも、今は、ケガをしていたから今の自分があるんだと言える。故障をして初めて、試合に出られない人の苦しみも分かるようになった」。この10年を振り返って、平石はそう言った。ケガと付き合い、とことん自分と向き合う日々を重ねる中で見つけた答えだった。そして、多くの人との出会いに恵まれたことで、モノの見方が変化したのだろう。「プロで結果を残したい。何とか1軍に上がって試合に出たい」。高校時代の「あの試合」に対する悔しさを超える悔しさが伝わってくる。

 6月17日、イースタン・リーグのヤクルト戦で、ライトへ今季1号となる2ランを放った。1番打者とは思えない見事な一発。どんな時も、自分のスタイルは自分自身で模索して編み出してきた。「僕は僕らしく…」。自身のブログのタイトルのように、平石は平石らしく、彼の野球人生を歩めばいい。(終わり)

 ◆平石洋介(ひらいし・ようすけ)1980年4月23日、大分県生まれ。PL学園の主将として甲子園に出場。3年夏の準々決勝で松坂の横浜と延長17回の死闘を演じた。卒業後、同大−トヨタ自動車を経て2004年ドラフト7巡目で楽天入団。1年目から1軍出場を果たすが、定着できず。175センチ、75キロ、左投げ左打ち。今季推定年俸800万円。背番号33。家族は夫人と1女。


<楽天平石・10年間の軌跡>
1999年 PL学園を卒業し同大進学
2000年 同大2年
2001年 同大3年
2002年 同大4年。全日本メンバーとしてイタリア遠征参加
2003年 トヨタ自動社入り
2004年 ドラフトで楽天から7巡目指名を受け入団
2005年 1軍出場25試合、打率1割7分8厘
2006年 1軍出場2試合、打率1割4分3厘
2007年 1軍出場なし
2008年 ここまで1軍出場なし


<楽天平石を取材して…>
 「松坂世代」と呼ばれることを、好まない選手も少なくない。しかし、平石は違った。楽天に入団が決まった時、松坂から連絡があった。「おめでとうって留守電に入れてくれた」と笑顔で語り、「松坂がいたからこそ、同期がみんな実力をつけることができた」とふり返った。小学校を卒業後、ボーイズリーグの名門、「八尾フレンズ」に入るため、生まれ育った大分から大阪へ移り住む道を選択した。親元を離れることに迷いも生じたが「一度行くと言ったからには引き下がれない」という男気が、PL学園−同大−トヨタ自動車−プロ野球というエリート街道を切り開いたといえる。様々なチームで知り合った仲間とのつながりを大事にする。PL学園の同期とは今も仲が良いという。松坂世代であることを、いい意味で意識してきたからこそ、今の平石があるのだろう。(川口敦子)

2008年7月31日 11:18


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