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2010年12月25日

丹精こめたモノづくりに「大切に思う気持ちが生まれる」

 先日、来季のバットづくりのためにミズノを訪れた中田の取材で、私もバット工場にお邪魔した。そこでお会いしたのが、イチローや松井秀喜のバットを手掛けたバットづくりの名人・久保田五十一さん。削り出すバットには1ミリ、1グラムの狂いもなく、03年には機能者表彰「現代の名工」に選ばれ、05年には「黄綬褒章」を受勲された方だ。

 現在はバット削りを後輩に任せ、木材の選別作業を行っている。木材の選別作業と書くと、読んでいる方は「?」だろうが、要するに、まだ削る前の木材を手で触り、感触や響きを頼りに、プロ野球選手用のバットに適しているかどうかを判断する作業。実はこの作業が一番大事だともいわれている。どんなにオーダー通りにバットを削っても、もともとの材質が悪ければいいバットにはならない。

 大量に積まれた木材の中から、選別→削り→塗装など、たくさんの人数が手を掛けて、1本1本丁寧にバットへと仕上げていく。

 その工程を見ていて私の頭に浮かんだのが、今季、ある選手が悔しさをバットにぶつけ、地面にたたきつけて折ってしまったシーンだ。あの場面について、久保田さんに聞いてみると、表情が曇った。「自分の失敗や悔しさ、その責任をバットに背負わせるということは、他人のせいにしていることと一緒だと思います。悔しいときこそ自分で受け止めなければ。やっぱりバットは大切に扱って欲しいし、大事にしてくれる選手のバットづくりには、さらに熱が入りますよ」と。

 大きな工場で大量生産されているわけではない。人間がつくり、人間が使うのが、プロ野球選手のバット。そこには、当然愛情が宿っている。

 中田は実家の居間に、削り途中のバットを飾っている。2年前のオフに同工場を訪れた際、あえて中途半端な段階で譲り受けたもの。バット制作の工程を自分の目で見たことで、1本1本のバットを今まで以上に大切に思う気持ちが生まれたのだ。これは我々の日常でも同じことが言える。今朝、私が、あなたが食べた米は、野菜は、どこかの農家で手塩にかけて育てられたもの。少しでもそれを思い出すだけで、いつもよりご飯がおいしいと感じる。

(本間翼)


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ハム番日記
高山通史(たかやま・みちふみ)
 新潟県新潟市(旧小須戸町)出身。日刊スポーツ長野、新潟支局を経て02年北海道本社に入社。編集部。一般スポーツ、コンサドーレ札幌などを担当し、03年9月から日本ハム担当。高校3年夏の甲子園に出場して本塁打をマーク。趣味は映画(レンタルDVD)観賞と愛犬の散歩。1975年4月生まれ。
本間翼(ほんま・つばさ)
 北海道札幌市出身。在京スポーツ紙で4年間経験を積み、07年6月に入社。昨年まではプロ野球を担当し、新規参入1年目の楽天、44年ぶり日本一の日本ハムを担当した。休日は最近はじめたゴルフの練習に精を出すが、思うように上達しないのが目下の悩み。1978年4月生まれ。
石井克(いしい・まさる)
 北海道札幌市出身。1983年8月生まれ。09年9月に北海道本社に入社。同年10月から日本ハムを担当している。小学3年から野球を始め、高校時代は投手。アンダースローに転向して甲子園を目指すも、夢はかなわなかった。最も尊敬する人物は野茂英雄氏。

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