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2008年10月26日

オレ竜の短期決戦に欠かせない“感性の捕手”谷繁

 クライマックスシリーズ直前のナゴヤドーム。落合監督が谷繁を呼んだ。「キャッチャー1人抹消するからな。全部いけよ」。ひと言ですべてを理解した。だから「はい」とだけ短く答えた。指揮官がチームの司令塔に下したフル出場指令-。それはCSでは「守備」をベースに戦う決意だった。

 クライマックスシリーズ第1ステージは2位阪神を2勝1敗で下した。打線は3試合で2、3、2点しか取っていない。2試合を完封して勝った。守り勝ったのだ。その裏に谷繁のリードがある。第1戦はカットが決め球の川上にフォークを多投させ、第3戦はスライダーが決め球の吉見にフォークで勝負させた。ペナントレースとは違う配球で相手を翻弄した。

 谷繁は“感性の捕手”と言われる。「オレはまず打者を感じたいんだよ。考えるのはそれから。打者が打席に入ったら、こう、頭から足のつま先までじっと眺める。そうすると感じるものがあるんだ」。12球団NO・1と言われるスコアラー陣が集めてきた膨大なデータはある。だが、試合が1球ごとに変化していく以上、捕手が肌で感じる生の情報に勝るデータはない。それは超短期決戦となるクライマックスシリーズではなおさらだ。

 CS前、谷繁はこう強調した。「本当にその場になってみないとわからない。シーズンでまったく打てなかった打者が打ったり、その逆もある」。144試合の蓄積など無になる。昨日の勝者が、きょうも勝つ都は限らない。だから川上、吉見もその日の状態によって勝負球を変えたのだ。

 一方、阪神との第2戦では剛速球のチェンが初回4失点で沈んだ。じつは試合前のブルペンでは絶好調だったという。それでもマウンドに上がると緊張からか普段150キロ近い速球が130キロしか出なかった。

 試合後、谷繁は若手投手陣に訴えるように言った。 「ここまできたら調子うんぬんじゃない。打たれたらどうしようと考える必要なんてない。そんなことはこっちが考えること。とにかく思い切り腕を振って、負けたら仕方ないという男気が必要なんだ!」。

 過去も未来もない。あるのは今、その一瞬だけ。そう覚悟している。2年連続でCS第2ステージに進出したオレ竜。なぜ短期決戦に強いのか? 理由の1つは感性の捕手・谷繁の存在にあるだろう。

(鈴木忠平)


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