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2008年9月28日

今後に生かせ!ルーキー山内のホロ苦“強制送還”

 9月14日、ルーキー山内はまだ試合が行われている横浜スタジアムを後にした。タクシーで宿舎ホテルに着くと急いでシャワーを浴びて駅へ向かった。新幹線に乗り込むと、悔しさがこみ上げてきた。「荷物がやけに重かったです…。自分のどこがいけなかったか考えました」。名古屋までの1時間23分、苦い、苦いプロ初先発を何度もかみしめた。

 この日、プロ初先発となった23歳の新人右腕は4回までに4失点した。4番村田に2発、5番吉村に1発を浴びるという内容が落合監督の逆鱗(げきりん)に触れ、降板後に森バッテリーチーフコーチに「帰れ」と試合中の強制送還を命じられた。

 中日はそれまでの2試合で村田に3発、吉村に2発の本塁打を浴びて連敗していた。この日のミーティングでは内角を厳しく攻めること、最悪四球でも構わないことなどが確認された。だが、山内―田中の若いバッテリーは徹底できなかった。「どんどん内角で勝負していけということだと思ってしまったんです」。村田の1発目はすべてストレートの3球目。2発目もストレートだった。

 3冠王3度の現役時代、落合博満は嫌というほど歩かされ、ぶつけられた。「いつも逃げることばっかり考えていたよ。こっちは生活がかかっているんだ。中にはオレの背中の後ろにミットを構えているキャッチャーもいたよ」と苦笑いする。通算9257打席で1475四球(王に次ぐ史上2位)、63死球。1試合に6度の四球は日本記録だ。打てば勝つ。打たれれば負ける。勝敗に直結する4番はそれだけマークされるのが当然だった。それだけに、若いバッテリーの“甘さ”が我慢ならなかったのだろう。

 「今まで1試合で2本打たれた記憶はない。(村田さんは)すごかった。でも落ち込んではいないですよ。自分に足りないところがわかりましたから」。怖い物知らずのルーキーが怖さを知った。それが今後に生かされるならば強制送還もただの制裁ではなくなる。

(鈴木忠平)


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伊藤馨一(いとう・けいいち)
 岐阜県出身の34歳。97年オフから中日を担当。99、04、06年と3度の優勝を知っているのがささやかな自慢。自分の目で見て自分の耳で聞いたものをまず信用する。まず「観察」してからものを言うというのがモットー。
鈴木忠平(すずき・ただひら)
 00年に入社後、01年に中日を担当。その後アマチュア競技、ボクシングなどの担当を経て04年オフの落合政権誕生時から再び担当に。幼少時は大の西武ファンだった。埼玉県生まれ、29歳。
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