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2008年7月04日

仮面の裏で渦巻く無数の苦悩

 いつも強気のオレ流監督が珍しく、弱音を吐いた。自分を責め、自嘲(じちょう)気味に笑った。「昨日は眠れなかったよ。だめだな…」。6月28日横浜戦(横浜)で敗れた翌日のことだった。指揮官が悔いていたのは1-3で迎えた6回無死一、二塁で井上に強攻させた場面。結果は二飛で走者を進めず。次打者デラロサが併殺に倒れ、この試合、最大のチャンスはつぶれたのだ。

 「間違えた! 歩のない将棋は負け将棋。勝負ごとは1個のずれが1個のずれじゃすまなくなる」。試合終了後、落合監督はこう言い残して横浜スタジアムを去った。そして深夜、自宅に戻った後も勝負の1手を間違えたことがいつまでも頭に残っていたという。

 「スケベ根性を出したんだ。一気に逆転できるかもしれないって。でも、そこまでの力はうちにはないってことだ。あそこは送って8番、9番に代打を使っておけばよかった。将棋も詰めの1手を間違えると大変なことになるだろう」。

 1つの決断が勝敗を左右する。結果がダイレクトに跳ね返ってくる監督の宿命だろう。「まだ6回だし、もう1回チャンスがあるかなという気持ちもあったからな。でも大体、判断するまでに時間がかかった時っていうのは失敗するんだ。迷ったらだめなんだ」。決断の時、一瞬の逡巡(しゅんじゅん)があれば余計に後悔もまた大きくなる。だからこそ眠れないのだ。

 「もし、生まれ変わったらオレは野球はやらないだろうな。毎日、映画を見て暮らしたいな」。
 そんなことを言いたくなる心情も理解できる。落合監督が眠れなかった夜-。おそらくシーズン中に1度や2度ではないだろう。グラウンドで見せるオレ流という仮面の裏には日々、無数の苦悩が渦巻いている。

(鈴木忠平)


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鈴木忠平(すずき・ただひら)
 2000年入社。アマチュア野球、中日、ボクシングなどを取材した後、04年の落合政権誕生時から中日担当に。日本一を1回、リーグ優勝を2回取材した。
桝井聡(ますい・さとし)
 06年入社。高校野球、ラグビーなど東海地区のアマチュア競技を担当。今年4月から中日担当。京都府生まれ。趣味は国内旅行。

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