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2008年2月10日

気配りの「ひと声」欠かさぬ立浪兼任コーチ

  「べんちゃん、乗れよ 」…。沖縄・北谷球場の屋内練習場。立浪は自転車にまたがると練習を終えた和田にこう声をかけた。メーン球場への約200メートルをファンや、報道陣に囲まれながら必死でペダルをこいだ。38歳と35歳の2人乗り。立浪も和田も無邪気に笑っていた。

 立浪は今期から打撃コーチ兼任となった。ミスター・ドラゴンズがこのキャンプで指導者としての第1歩を踏み出したのだ。初日、すべての練習が終わった後、暗くなったメーン球場に現れた立浪は特打を行う新井に声をかけた。「せっかく秋にいい形になってるんだから、もう1度、あれを思い出せよ」。そして4日目、マシン打撃を行う和田には「べんちゃん、どう? よう練習するなあ」とまず声をかけた後で気になったポイントを指摘した。共通しているのは言葉の中にある「気配り」だ。

 立浪がコミュニケーションの大切さについてこう話したことがある。

 「オレたちはプロだ。だからだれに何を言われても自分の仕事はやらないといけない。でもプロ野球選手である前に人間でもある。ひと声かけたりするだけで、すいぶん気持ちが違ってくる。人間なんて気持ちで動くんだから」。

 プロといえど機械ではない。みんな不安や不満を抱えている。それを取り除くのが「ひと声」の気配りだという。思えば昨年、オリックスを自由契約となった中村紀が育成選手として中日にきた時、真っ先に声をかけたのも立浪だった。

 そして今年はFAで加入した和田を2人乗りに誘った。法律では“違反”だが選手の心をほぐすには“合法”に違いない。コーチとして成功するか、否かはまだ先の話だろう。ただ、指導者・立浪を象徴するシーンだった。

(鈴木忠平)


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