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2007年10月13日

結果論で振り返らないのがオレ流

 オレ竜の連覇が消えた。10月1日、広島に敗れて巨人のマジックが「1」となり事実上の終戦を迎えた落合監督はこれだけ言った。「仕方ないだろう。勝負事なんだから」。敗軍の将、兵を語らず。巨人の優勝が決まった翌日も、その姿勢を貫いた。

 今季、落合監督の怒りに触れたことがある。9月14日、甲子園。阪神との直接対決第1ラウンドを制した。9回2死二、三塁でウッズが藤川から決勝打を打った。あの、11球すべてストレートの勝負だ。

 だが、記者には疑問があった。ウッズは試合後、ストレートを予想していたと話した。なぜ打者に予想されている球を投げるのか。ウッズ個人ではなく、中日というチームに勝ちたいのなら全球ストレートの勝負は避けるべきではなかったか? 2日後、甲子園にきた落合監督にぶつけた。

 「そんなことはない。ピッチャーが投げたんだからそれがベストだろう」

 そう言うと静かだった口調が突然激しくなった。

 「いいか。野球っていうのはピッチャーが投げて始まるスポーツなんだ。打者はピッチャーが投げないとどうしようもないんだ。イロハのイだ! おまえがテストで答案用紙に答えを書くだろう? それが間違っていても、そうだと思うから書くんだろう? それと同じだ! そんな話、聞きたくない!」。

 そう言うと監督室のドアをピシャリと締めた。落合監督は結果論が嫌いだ。「たら、ればを言うな」といつも言う。藤川という投手が最も抑える確率の高いボールとして「ストレート」を答案用紙に書き込んだ。それが正しいかなんてウッズに打たれるまでは、答えが出るまでは、だれにもわからないというのだ。

 それはオレ竜のペナントレースにも当てはまる。最大の敗因は間違いなく福留離脱の穴が埋まらなかったことだ。だが、それを語ったところで何の意味がある? 2位という結果にいたるまで苦悩があり、決断があった。「ストレート」を選択した藤川と同じ。だから将は敗因を語らなかった。生活をかけた勝負を結果論のみで振り返るのはあまりにも無粋-。オレ流指揮官はそう言いたかったのだろうと、今は思う。

(鈴木忠平)


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伊藤馨一(いとう・けいいち)
 岐阜県出身の34歳。97年オフから中日を担当。99、04、06年と3度の優勝を知っているのがささやかな自慢。自分の目で見て自分の耳で聞いたものをまず信用する。まず「観察」してからものを言うというのがモットー。
鈴木忠平(すずき・ただひら)
 00年に入社後、01年に中日を担当。その後アマチュア競技、ボクシングなどの担当を経て04年オフの落合政権誕生時から再び担当に。幼少時は大の西武ファンだった。埼玉県生まれ、29歳。
益田一弘(ますだ・かずひろ)
 広島県生まれの31歳。00年に入社して格闘技、相撲、サッカーを取材。「突撃取材」でボクシングの世界王者とスパーリングして3度ダウンした経験も。06年11月から中日担当。

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