2007年4月07日
現役時代と変わらぬ川相コーチのスタンス
「71・KAWAI」-。2ケタになった背番号が初々しかった。3月30日、開幕戦(対ヤクルト・ナゴヤドーム)、中日の川相昌弘内野守備走塁コーチ(42)が第2の野球人生を歩み始めた。
動く-。これが川相コーチのモットーだという。
「選手にどのタイミングで、何を言うか。いくつも注意しても聞いていないこともある。ミスをなくすために最低限の確認事項だけを選手の頭に残るように伝えないといけない。難しいよ。でもすべては経験だから、とにかくまずは自分が思うように動いてみようと思っている」。
3月17日、日本ハムとのオープン戦(札幌)から一塁ベースコーチに立った。攻撃時は相手バッテリーと走者に、守備時は内野陣の位置に神経をとがらせる。声をかけ、身振り手振りで伝える。トイレに行くのも、水を飲む暇もないほどだった。
おだやかな外見とは裏腹に現役時代から熱く、激しかった。巨人を自由契約となり、中日に移籍した04年の沖縄キャンプでインタビューを申し込んだ。冒頭から巨人退団のいきさつを聞いた。質問するうちに顔色が変わってきた。
「そんなこともう話したくないんだよ! なんで過去のことばっかり振り返ろうとするんだ! オレはこれから先のことを考えたいんだ!」
ものすごい剣幕に驚いた。ただ、そこから自らの信念を熱く話し始めた。
「世の中にたくさんの人間がいて、プロ野球選手になれるなんてすごいことなんだ。だからプライドとか関係ない。どの球団でも行くし、年下でもすごい選手がいたら教えてもらおうと思うし、若いやつに負けないようにノックを受けて足を動かすようにする」
少しでも長く野球をやるために動く。「ジイ」という愛称の40歳はまるで少年のような表情だった。
コーチとして迎えた開幕戦、2-3と逆転された直後の8回に中村紀が同点二塁打を放つと一塁ベースから二塁へ走った。肩をたたき、声をかけた。くるりと振り向くと今度は一塁ベンチへ走った。
「あれはノリに代走が出るかどうかを(ベンチで)確認したんだ。次の回の守備のこともあったから」。
背中の番号は重くなってもスタンスは現役時代と変わっていなかった。
(鈴木忠平)
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- 伊藤馨一(いとう・けいいち)
- 岐阜県出身の34歳。97年オフから中日を担当。99、04、06年と3度の優勝を知っているのがささやかな自慢。自分の目で見て自分の耳で聞いたものをまず信用する。まず「観察」してからものを言うというのがモットー。
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- 鈴木忠平(すずき・ただひら)
- 00年に入社後、01年に中日を担当。その後アマチュア競技、ボクシングなどの担当を経て04年オフの落合政権誕生時から再び担当に。幼少時は大の西武ファンだった。埼玉県生まれ、29歳。
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- 益田一弘(ますだ・かずひろ)
- 広島県生まれの31歳。00年に入社して格闘技、相撲、サッカーを取材。「突撃取材」でボクシングの世界王者とスパーリングして3度ダウンした経験も。06年11月から中日担当。
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