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2007年3月10日

ノリ加入で森野が思い出した原点

 まさにプロの顔だった。4日、ロッテとのオープン戦後、初本塁打を含む3安打を放った森野はナゴヤドームの駐車場で約15人の報道陣に囲まれていた。

 「僕だってそう簡単にレギュラーを明け渡すわかにはいかない。僕にもそういうもの(プライド)がありますから」。

 質問は育成選手ながら三塁の座を狙う中村紀について。プロ11年目の28歳はここで、球界を代表するスラッガーに対して堂々と“宣戦布告”した。それまでの森野からすると、一歩踏み込んだ発言だった。

 1カ月前のことだった。沖縄キャンプ中の2月13日、昼下がりの読谷球場で森野、福留、井端ら主力組がフリー打撃をしているところに落合監督がやってきた。グラウンドに出た指揮官は打撃ケージの裏にいた森野に歩み寄り、何やらささやきかけた。

 「もうすぐ強力なライバルがテストに来るぞ」。

 関係者によれば、この時落合監督はこう言ったという。そして翌14日、森野はそれがオリックスを自由契約になっていた中村紀だと知ることになる。昨季、苦労して立浪から奪った三塁レギュラーがキャンプ終盤にきておびやかされる。不安、不満、不信感…。様々な感情が森野を襲ったはずだ。「何も言うことはありません」。以来、中村紀についての質問には厳しい表情でこう繰り返すばかりだった。

 ナゴヤドーム駐車場での“宣戦布告”から一夜明けた翌日、森野に変身ぶりについて聞いた。
 「この世界は競争ですから。僕も今までそうやってきた。だから原点に戻って必死にやっています」。

 中村紀の獲得については育成枠の趣旨に反するという意見もある。ただプロの世界である以上、地位を保証されている選手なんていない。森野もそうやって立浪を追いやった。そして、その原点をまた思い出した。ひと皮むけた森野の今季がより楽しみになった。

(鈴木忠平)


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 岐阜県出身の34歳。97年オフから中日を担当。99、04、06年と3度の優勝を知っているのがささやかな自慢。自分の目で見て自分の耳で聞いたものをまず信用する。まず「観察」してからものを言うというのがモットー。
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