2007年1月14日
山本昌、懐かしくも寂しい母校自主トレ
41歳のベテランはグラウンドに出てくると、まるで少年に戻ったような笑顔を浮かべた。「やっぱりここに来るといいね…」。記者の仕事始めとなった1月4日。母校・日大藤沢高で自主トレを行った山本昌を取材した。
「ブルペンの左から2番目はエースの場所なんだ。うちの伝統だね。オレもあそこで投げたなあ…」。「外野はいつも日陰になっているから冬は1日中霜が降りているんだ。ぐちゃぐちゃの中をよく走ったなあ」。今から23年前、同校のエースだった左腕はタイムスリップしているかのように遠い目をして、うれしそうに話し続けた。
その横を頭を五厘刈りにした高校球児たちが気合いをいれながら駆け抜けていく。それを見て山本昌はまた話し出す。「あいつら元気だな~。でもオレたちも外野までうさぎ飛びしたよ。もう暗くなってて先輩に見えないから途中で前転してごまかしたりしたなあ」。笑顔はさらに緩んだ。
だが、そんな中ふと寂しそうな表情でつぶやいた言葉が印象的だった。「プロアマ規定がなくなればいいのに…。僕たちだってここに来ること。あいつらを見ることですごいやる気になるんだよ」。母校は昨秋関東大会で4強入り。同校OBの実弟秀明さん(36)が監督になって以来初の甲子園となる今春センバツ出場が濃厚となっている。現規定では、プロ野球選手は届け出れば母校のグラウンドで高校生と練習できるが、あからさまな指導はできないことになっている。山本昌はこの日、自主規制して秀明さんとも後輩たちとも言葉を交わさなかった。
プロ野球で23年間も生き抜いてきた猛者でさえ、母校に戻ることで純粋な気持ちを取り戻す。夢を追う球児を見ることでモチベーションを与えられる。球児はプロから夢をもらい、プロは母校と後輩から戦場へ向かうエネルギーをもらう。それを隔てる「壁」に不粋を感じざるを得なかった。
(鈴木忠平)
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- 岐阜県出身の34歳。97年オフから中日を担当。99、04、06年と3度の優勝を知っているのがささやかな自慢。自分の目で見て自分の耳で聞いたものをまず信用する。まず「観察」してからものを言うというのがモットー。
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- 鈴木忠平(すずき・ただひら)
- 00年に入社後、01年に中日を担当。その後アマチュア競技、ボクシングなどの担当を経て04年オフの落合政権誕生時から再び担当に。幼少時は大の西武ファンだった。埼玉県生まれ、29歳。
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- 益田一弘(ますだ・かずひろ)
- 広島県生まれの31歳。00年に入社して格闘技、相撲、サッカーを取材。「突撃取材」でボクシングの世界王者とスパーリングして3度ダウンした経験も。06年11月から中日担当。
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