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2006年6月06日

ぼやく人ぼやかぬ人、監督の目的

 ぼやく人とぼやかない人が仲良く並んでいた。6月2日、フルキャスト宮城スタジアム。楽天対中日戦の試合前、打撃ゲージ裏では野村監督、落合監督の談笑が延々と続いていた。ともに球史に残る右打者。ヤクルト時代の野村監督が巨人を退団した落合獲得に名乗りをあげたという過去もある。だが指揮官としては決定的に相容れない部分があるはずだが…。

 落合監督はマスコミを通じて選手の批判はしない。就任以来、監督として最も大切にしてきた部分だという。対して野村監督はぼやく。試合前のベンチで、試合後の囲み取材で、担当記者を集めて選手を批評する。この対照的なカラーを持つ指揮官2人はなぜか気が合うらしい。現在、球界でただ1人、両監督の下でプレー経験を持つ楽天鉄平(中日時代は土谷鉄平)に聞いてみた。

 鉄平 確かに野村監督は新聞を通じて選手のことを言うし、落合監督は絶対しませんでした。でも、僕は選手の受け止め方次第だと思います。マスコミを通して言われたとしても、それが当たっていれば『そうか』と思えるんです。逆に見てもらえてるとも思いますし。それに2人とも野球に関してすごい頭を持っているというのは同じです。

 野村監督の下で才能を開花させた鉄平はむしろ、ぼやきをモチベーションに変えるという。ちなみに落合監督の意見はこうだ。

 落合監督 選手のことをあれこれ言いたくなる気持ちはわかるよ(笑)。でもオレはやらない。現役の時に嫌な思いしたから。ただ野村さんの場合はあれで選手を発奮させてる部分があると思う。選手が次の日、新聞を読んでこう思うだろうというのをわかっているんじゃないか。そういう育て方もあるだろうな。

 選手を発奮させるためにマスコミを利用するかしないか。ぼやくか、ぼやかないか。それは方法論の違いに過ぎず、目的は同じなのだ。千差万別の選手操縦術。結果もまた出るとは限らない。監督業にも王道なし、と改めて思った。

(鈴木忠平)


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伊藤馨一(いとう・けいいち)
 岐阜県出身の34歳。97年オフから中日を担当。99、04、06年と3度の優勝を知っているのがささやかな自慢。自分の目で見て自分の耳で聞いたものをまず信用する。まず「観察」してからものを言うというのがモットー。
鈴木忠平(すずき・ただひら)
 00年に入社後、01年に中日を担当。その後アマチュア競技、ボクシングなどの担当を経て04年オフの落合政権誕生時から再び担当に。幼少時は大の西武ファンだった。埼玉県生まれ、29歳。
益田一弘(ますだ・かずひろ)
 広島県生まれの31歳。00年に入社して格闘技、相撲、サッカーを取材。「突撃取材」でボクシングの世界王者とスパーリングして3度ダウンした経験も。06年11月から中日担当。

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