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2007年9月02日

「ピッチャー森野」コールも近い?

 左足を上げて振りかぶる姿に驚いた。16日の阪神戦が行われた京セラドーム大阪。中日森野将彦内野手(29)が、速いボールを投げ込んでいた。わずか5球程度だったが、野手の送球とは明らかに違う。「投手? いやあ、遊びですよ。遊び」と質問は右から左に受け流されたが、それは完全に投球フォームだった。

 ギョッとしたのには訳がある。森野は、プロ野球史上3人目の珍記録に向けて一向聴(イーシャンテン)を迎えている。一向聴とは麻雀用語であと2牌で「あがり」という意味だが、森野も「マジック2」としている。プロ野球史上3人目の全9ポジション制覇だ。

 今季は112試合中110試合に出場して、捕手と投手以外の7ポジションを守っている(29日時点)。春季キャンプでは三塁以外はほとんど練習していないことを考えれば、失策「4」はまずまずの数字だ。

 森野は「僕は守備のことはいいんです」と謙そんする。それでも中堅や遊撃もこなす適応力は「便利屋」というよりも「万能」という言葉がふさわしい。外野用、一塁用、三塁用のグラブを持ち歩く森野の荷物に、まずはキャッチャーミットが加われば1歩前進だ。

 過去に全9ポジション制覇を記録したのは2人だけ。74年の高橋博士(日本ハム)と00年の五十嵐章人(オリックス)だ。セ・リーグでは達成者はいない。森野は珍記録について「そんな気持ちはないです」と言う。たとえ捕手をクリアしても、最大の難関「投手」が残っている。米大リーグでは大差のついた展開で本職の投手を消耗させないために野手をマウンドに送ることは珍しくないが、それはあくまで米国の話。それでも「ピッチャー森野」のコールを1度でいいから聞いてみたい。

(益田一弘)


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