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2007年12月12日

極限のプレッシャーで際立つ岩瀬の存在感

 「人生で初めてです。こんなプレッシャー」。11月1日、日本シリーズ第5戦で9回を3人でピシャリと締め、中日の53年ぶりの日本一の胴上げ投手となった直後、岩瀬は言った。それもそのはず。通常の状況とはワケが違っていた。先発山井は8回までパーフェクトに抑えていた。つまり当たり損ねを含めた1本の安打、四死球すら許せない状況だった。想像を絶するプレッシャーだっただろう。

 入団以来9年連続50試合以上登板の鉄腕は、幾多の修羅場を潜り抜けてきた。常にプレッシャーの中で登板してきた岩瀬がこれまで「別のプレッシャー」を感じたのは、長嶋ジャパンの一員として参加し、銅メダル獲得に貢献した04年のアテネ五輪だったという。5試合に登板、無失点と結果を残したが、帰国後に「1球の重さが違いました」と話した。だが冒頭の登板はそれ以上だったのだろう。

 現在、岩瀬は台湾での北京五輪予選を戦っている。一発勝負の予選では負けはもちろんだが、点数を取られることも致命傷になる可能性もある。リーグ戦形式に慣れているプロ野球選手にとっては、勝手が違う部分もある。さらに、今回参加しているフィリピン、韓国、台湾の中では日本は実力的に最上位と見られている。勝って当然。負けることは許されないというプレッシャーもかかってくる。

 個人的に、今年一番大きなプレッシャーを経験したのは岩瀬だと思っている。ボールを1球投げるのもためらわれるほどのプレッシャーは、極限状態だろう。日本一達成後に、落合監督が言った「岩瀬はもっと評価されてもいい」との言葉は本音だろう。逆に言えば、岩瀬が山井とのパーフェクトリレーを完成させたからこそ、必要以上の「大問題」には発展しなかったともいえるかもしれない。

 オレ竜が誇る守護神は、2日の韓国戦で“今季最長”の2回1/3を投げ、1点を失ったもののリードを保って最終回に登板した巨人上原にバトンをつないだ。この試合でも、登板したのは終盤。最大でも2点差で万が一、同点とされれば一気に韓国に流れが傾き、北京五輪への切符が消えかねない状況で結果を残した。状況が違うとはいえ、大きなプレッシャーの中で力を発揮した岩瀬の存在感は際立っていた。

(伊藤馨一)


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