2007年7月04日
夏場にこそ必要、渡辺の「一芸」
「スーパーサブ」は、控え選手であって、控え選手ではない。中日では勝負どころの最後の一手として、試合の終盤に投入される。12球団屈指の投手力、守備力を生かした「1点を守り切る」先行逃げ切りの落合野球ではある意味、大砲よりも存在価値は大きいといえるかもしれない。オレ竜ではスーパーサブ査定なるもので他の控え選手と差別化している。新たな「レギュラーポジション」といってもいいかもしれない。
中日では渡辺、英智がそうだった。逃げ切りを狙っってウッズに代えて一塁に渡辺、外野に英智を入れて守備固めをするのが、ここ3年間のオーソドックスな試合の進め方だった。落合監督就任初年度の04年には鉄ぺきの守備で優勝に貢献したことが認められて控え選手としては異例となるゴールデングラブを受賞している。とかく「脇役」とされがちな守備固め要員の2人だが、守り勝つ落合中日の象徴的な存在でもある。
だが、今年は異変が起きている。チームが交流戦を戦い終えた翌日の6月25日、渡辺が出場選手登録を抹消された。ここまでの今季成績は34試合に出場、15打数2安打、打率1割3分3厘だった。26日、ナゴヤ球場で行われた2軍の練習に合流したベテランは、フリー打撃の後、約200球のロングティーを行うなど、炎天下で精力的に汗を流した。「呼んでもらえるように頑張るだけです」。そう話す表情は真剣そのものだ。
その裏にはチーム状況の変化があった。2月の沖縄キャンプで中村紀がテスト入団。これにより昨年三塁の定位置を獲得した森野が左翼に回った。99~02、04年の5度のゴールデングラブ獲得の実績からも分かるように、豪快な打撃だけでなく、中村紀の三塁守備には定評がある。さらに左翼を守る森野は一塁も守ることができる。そして左翼に英智を入れれば、攻撃力の低下を最小限に抑えて守りを固められることになる。
プロは実力の世界。結果を残さなければ生き残っていけないとよく言われる。そんな世界で渡辺は、守備力という「一芸」を武器に今年5月にはプロ12年目でFA権を取得した。1度も規定打席に到達した経験がない選手による異例の権利取得でもあった。勝負どころの夏場では99、04、06年と3度の優勝を知るベテランの経験は、チームにとっても大きな力となるはず。ナゴヤ球場からの巻き返しに期待したい。
(伊藤馨一)
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- 伊藤馨一(いとう・けいいち)
- 岐阜県出身の34歳。97年オフから中日を担当。99、04、06年と3度の優勝を知っているのがささやかな自慢。自分の目で見て自分の耳で聞いたものをまず信用する。まず「観察」してからものを言うというのがモットー。
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- 鈴木忠平(すずき・ただひら)
- 00年に入社後、01年に中日を担当。その後アマチュア競技、ボクシングなどの担当を経て04年オフの落合政権誕生時から再び担当に。幼少時は大の西武ファンだった。埼玉県生まれ、29歳。
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- 益田一弘(ますだ・かずひろ)
- 広島県生まれの31歳。00年に入社して格闘技、相撲、サッカーを取材。「突撃取材」でボクシングの世界王者とスパーリングして3度ダウンした経験も。06年11月から中日担当。
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