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2007年2月13日

キャンプ1年目に見た、鉄腕岩瀬の非凡さ

 キャンプが始って10日あまりが過ぎた。2月は、今年1年を左右するといってもいい大切な時間だ。特に新人選手にとっては、技術はもちろん意識の面でもプロのレベルの高さへの驚きはあるだろうし、初めての環境への戸惑いもあるだろう。またアマチュア時代とは違う役割を求められたりすることも出てくる。その対応を含めてチームに溶け込んでいくことが大切になってくる。

 そんな中で一番印象に残っているのが99年。岩瀬の1年目のキャンプだ。同期のドラフト1位福留に周囲の注目が集まる中、大学、社会人を経てドラフト2位(逆指名)で入団した細身の左腕は地に足がついていた。ブルペンで投げた宝刀のスライダーは当時の星野監督をして「えげつない曲がり方をしよる」と言わしめた。そんな声にも一喜一憂することなく、シーズンへの準備を進めていた。

 象徴的だった言葉はこれだ。「自分なりに(プロでの)イメージがあるんです。初勝利のことも頭では思い描いていますよ」。驚いた。即戦力の触れ込みで逆指名で入団した左腕も、高校、大学、社会人時代を通じて全国的には無名。当時はスカウトも「社会人で急激に伸びた。素材は素晴らしいものがある」という評価。そんな中、岩瀬はチームでの自分の居場所を中継ぎだと考えていたのだ。

 現在でこそ「あれは(当時の監督の)星野さんに『今年(1年目)はリリーフで頑張ってくれ。来年は先発をやらせるから』って言われたからですよ」と笑い話にしている。だが本音は別だった。「短いイニングでバーッと全力でいくのが性に合っていたのかな。この仕事だったから、ここまで来られたのかもしれない」。プロでの成功のカギは1年目のキャンプでの中継ぎとの「出会い」だった。

 「この世界(プロ野球)で生きていくために、何をすればいいかを常に考えていくのがプロ」。落合監督の口癖だ。いわば岩瀬はそれを実践していたわけだ。8年連続50試合以上登板や史上初の2年連続40セーブ、さらに400試合以上登板での通算防御率1点台など、奇跡的な数字を打ち立ててきた左腕の原点は1年目のキャンプだった。日本球界屈指の鉄腕の非凡さを改めて感じている。

(伊藤馨一)


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 岐阜県出身の34歳。97年オフから中日を担当。99、04、06年と3度の優勝を知っているのがささやかな自慢。自分の目で見て自分の耳で聞いたものをまず信用する。まず「観察」してからものを言うというのがモットー。
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