2006年6月13日
どん底知った「一番人気」小笠原に注目
「人気NO・1」だった小笠原がその評価に恥じない? 結果を残している。交流戦中の5月14日に1軍昇格を果たし、今季初先発となった5月21日のロッテ戦(千葉)では負け投手となったものの、6回3失点で先発入りを決めた。そして次の5月28日のソフトバンク戦(ヤフードーム)では、プロ初完投勝利。12日現在、5試合に登板、2勝1敗、防御率2・25。先発の一角をつかんでいる。
開幕当初、2軍の本拠地ナゴヤ球場のネット裏でこんな声を聞いた。「小笠原を何とか(獲れないか)という話がたくさんある」。他球団の調査担当者にとって、先発能力のある左投手はノドから手が出るほど欲しい存在。02年には先発で5勝を挙げた実績があり、開幕1軍から外れていればなおさらだろう。当然、他球団からオファーが殺到した。だが、落合監督は首をタテに振らなかった。
「ウチでチャンスがなくても、他で出られる選手もいるから」が、落合監督が選手を放出する際の決まり文句。開幕時点で、小笠原は先発として8番手程度の評価だっただろう。加えて今年は2軍の打撃不振が象徴するように野手、特に内野の層の薄さが目立つだけに、商談がまとまってもおかしくなかった。だが、小笠原に「チャンス」はこなかった。それでも「きたるべき日」に備えていた。
昨年の10月と11月、小笠原は、ナゴヤ球場にいた。教育リーグ、沖縄秋季キャンプのメンバーからも外れていた。シーズン終盤に左手に打球を受けた影響があったとはいえ「戦力外」のような扱いを受けた。さらに契約更改では20%の大幅ダウン。登板が谷間のみの先発(5試合)だった昨年を考えれば、先が見えない状況だったかもしれない。だが、小笠原は結果でそれを見返してみせた。
どん底で酸いも甘いもかみ分けただけに、今年の小笠原の投球は一味違う。ピンチになっても慌てず、落ち着いている。最後に昇格前の4月下旬、落合監督が小笠原について話したコメントを紹介しよう。「小笠原が(他球団から)人気があるのは知っている。でも(トレードは)ない。誰と代えるの? ウチで働けるピッチャーだよ」。自力ではい上がってきた8年目左腕の今後に注目したい。
(伊藤馨一)
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- 伊藤馨一(いとう・けいいち)
- 岐阜県出身の34歳。97年オフから中日を担当。99、04、06年と3度の優勝を知っているのがささやかな自慢。自分の目で見て自分の耳で聞いたものをまず信用する。まず「観察」してからものを言うというのがモットー。
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- 00年に入社後、01年に中日を担当。その後アマチュア競技、ボクシングなどの担当を経て04年オフの落合政権誕生時から再び担当に。幼少時は大の西武ファンだった。埼玉県生まれ、29歳。
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- 広島県生まれの31歳。00年に入社して格闘技、相撲、サッカーを取材。「突撃取材」でボクシングの世界王者とスパーリングして3度ダウンした経験も。06年11月から中日担当。
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