2009年10月22日
球団史に花を添えるプレゼンター:酒井俊作
あるいは、カープの球団史に花を添えるプレゼンターとしては最適なのかもしれない。シーズンを終えた10月10日の夜。ナイン、裏方らが一堂に会した慰労会でもっとも手荒い“祝福”を受けたのは大竹だった。緒方の引退試合で、わずか1得点の援護を守りきって会心の完封勝利を挙げた。
「野村さんの2000本安打の試合、佐々岡さんの引退試合でも投げさせてもらえたけど、同じくらいの緊張感がありました。抑えられて自信になりました」
カープの歴史を支えてきた功労者の区切りの1戦に先発で立会い、いずれも白星で飾っていた。ジンクスはこの日も生きていた。ゲームセットの瞬間、無邪気な笑顔を見せ、ガッツポーズを連発した。09年のフィナーレ。僕が広島に赴任して、間もなく1年がたつ。これほど早くシーズンが過ぎたのは初めてだった。
昨年11月。まるで地面から両足が生えているかのような、ドッシリとした大竹のキャッチボールを見て凄みを感じたのが、カープ担当としての僕のスタートだった。とにかく、タフネスぶりを見せつけられた1年間だった。今季は自己最多の185回2/3を投げ、5年連続で規定投球回数を超えた。広島では12年連続の北別府がいるが、現役では、横浜三浦の6年連続に次いでリーグ2位の好記録だ。
日常生活でも「番長イズム」を貫いた。今季、球宴後から取り入れたのは、食生活の改善だった。マラソンなど、持久系スポーツの選手が行っている「グリコーゲン・ローディング」を実施。簡単に言えば、本番の数日前から炭水化物を多量摂取する食事法だ。大竹も「三浦さんから教わったんです。登板直後は肉を食べて、2、3日前からコメを食べるようにしているんですよ」と明かす。
運動時のエネルギー源として使われる炭水化物を多く蓄えることで、登板時にスタミナ切れを起こさない。しかも投げた直後は、筋繊維が破壊されており、その修復に使われるアミノ酸が多く含まれた肉を食べるというのだから、栄養学的にも理にかなっている。球界の大先輩から「タフネスの流儀」を学んでいた。
長らく精神面が課題だと言われてきたが、自身の10勝目をかけた最終登板で重圧をはねのけた。「この日の登板が決まったときから、すごく張り詰めていました」。まさにメンタルの勝利だった。そして、緒方の引退を飾る快投。めぐり合わせというべきか、なんとも粋な締めくくりだろうか。
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