2009年7月23日
心もタフな3年目会沢:酒井俊作
7月中旬に入って、恐ろしいペースで負け続けている。前半戦ラスト12戦は1勝11敗…。クライマックスシリーズ進出への希望は薄らぐ一方だが、明るい光もある。プロ3年目の会沢翼捕手が1軍に抜てきされ、素質の高さを示している。
思い切りのいい打撃、ヤクルトの俊足福地や青木を刺した強肩…。何より頼もしいのは、心のタフさだ。7月18日ヤクルト戦。同点に追いついた直後の8回2死二塁。打てば決勝タイムリーの場面で敬遠された。「おいしいなと思っていたのに…。お立ち台も見えたなって…。打ちたかったです」と冗談を飛ばす。勝負の行方を決める場面でも物おじすることなく、奮い立つ姿は頼もしい限りだ。堂々たる立ち居振る舞いからは、21歳という年齢以上に大人びた印象すら与える。
「1軍って疲れが全然違うと言われていたけど、フルに出ると、やっぱり違います。とにかく経験です」
7月15日横浜戦では、プロ初の先発マスクもかぶった。打者の癖、投手の球筋や配球…。把握すべき情報量は2軍に比べてはるかに多い。欠かさない日課がある。試合時には、気づいた点をメモに取る。終了後、寮の自室に戻ると、球団別に分けたノートに要点を整理する。「あとでノートを見直して『そうだったな』と確認できる。覚えきれないので、まとめ直すようにしています」。日々の積み重ねが血となり肉となる。
試練を味わったのは、7月20日の中日戦だ。1点勝ち越した直後の8回裏。正捕手の石原はすでに交代していた。責任重大な終盤に起用されたのは経験豊富な倉ではなく、若い会沢だった。土壇場で同点に追いつかれ、さらにシュルツの暴投を止め切れず、三走に決勝のホームを許し…。問いに対して「そうですね、ハイ」と相づちを打つのが精いっぱい。絞り出すように「僕の責任です…」と言い残すと、バスへと消えた。
これもまた、誰もが通るべき道なのか。かつての名捕手・野村克也(現楽天監督)は「地位が人を築く」と話す。1試合を守り切る難しさが確かにある。敗北の責任を一身に背負い、悔しさに暮れた名古屋の夜。壁を乗り越えた先に、何かがある。会沢はいつものように、ノートにペンを走らせていた。
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