2009年6月16日
快記録の裏に、男の意地を見た:高垣誠
担当記者をしていると、ときどき大記録と遭遇することがある。先日も、千葉マリンでプロ野球新記録の1イニング15得点というロッテの猛攻を目撃する機会があった。同じ打者(大松)が1イニングで3度も打席に立つのも初めて見た。
もちろん、広島側からみればこれは「1イニング15失点のプロ野球ワースト記録」になるわけで、不名誉なことこのうえない。1試合でも23失点というチームワースト2位の記録ともなり、試合後の首脳陣、選手の足取りは重かった。
15失点は、投手陣がヒットを打たれ、四死球を出したから生まれたものだが、その中で野手の失策がひとつだけからんでいた。12点が入ったあとの1死満塁で、遊撃小窪がゴロを二塁へ悪送球して13点目が入り、さらに犠飛と安打が続いた。従来の1イニング最多失点は13点だったから、結果論でいえば、小窪がもし遊ゴロを併殺に仕留めていれば、新記録は生まれていなかったことになる。本人は「下手くそです」と自分を責めたが、40分以上に及ぶ守備で、集中力が欠けてしまっても無理はなかったと思う。見ていた我々でさえ、打球が抜けるたびに「まだ攻撃が終わらないのか」と何度も思ったのだから。
その翌日、西武ドームへ移動しての練習で、小窪は石井から守備の基本について改めて教えてもらっていた。石井も小窪の精神面を気遣って「心のケアですよ」と話していたが、ベテランの配慮は効いたようだ。小窪は「あのとき集中力が欠けていたことは分かっています。それが課題なので気をつけたい」と吹っ切れたように話した。
そして、リベンジの機会はすぐに訪れた。14日の西武戦で、延長12回に左翼手と交代して内野5人制の二遊間に入った。バレーボールでいえば“ピンチレシーバー”みたいなものか。通常あり得ないシフトだが、その小窪の正面に痛烈な打球が飛び、今度はしっかり併殺に打ち取ってサヨナラ負けを引き分けに持ち込んだ。
やられたら、やり返せばいい。そんな単純な鉄則が、見ていて心地よかった。
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