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2009年6月09日

絆で築いた緒方の金字塔:酒井俊作

 あるいは、師弟の絆が1500本安打に結びついたのかもしれない。ニュースで報じられる教え子は、ひときわ輝いて映った。プロ入り23年目で節目の記録だった。一塁ベース上で花束を掲げている。6月8日に尾道で行われたオリックス戦。所用のため、リアルタイムで「その瞬間」を見逃していた平野国隆氏は、感慨深げに思いを語った。

 「スタメンで出ていたらもっとすぐに達成していたかもしれないですね。代打は難しい役割ですから。でも、本当に良かったです」

 佐賀・鳥栖高野球部を率いて33年目になった。もしあの時、教え子が野球を辞めていれば、平野氏はいまもなお、高校生に教え続けていなかったのかもしれない。07年のことだ。打率1割8分1厘に低迷し、7月に右ひじを手術-。『現役引退』が視界にチラつき、悩んでいた教え子から相談を受け、ゲキを飛ばした。

 「やれる限りやれ! 冗談じゃねえ! もう少しやるんだ! お前が辞めるなら、オレも監督を辞めなあかん!」

 思いは通じる。1度は球団に引退を申し入れていたが、翻意した。今年は野手コーチを兼ねて2年目になる。8日の試合後。教え子は真剣な表情で「感謝の気持ちしかないよ。家族も待っていただろうし、チームメートにしろ、裏方さんにしろ、練習を手伝ってもらってね。ホント、その方たちに感謝です」と言った。

 新球場のマツダスタジアム開幕戦だった4月10日・中日戦。客席には、教え子の招待で来ていた平野氏の姿もあった。あれから2カ月がたち、ようやく区切りの数字に並んだ。長く野球を続けたからこそ、味わえる喜びがある。緒方孝市のヒットには、感謝が詰まっていた。


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カープ担当記者日記
酒井俊作(さかい・しゅんさく)
 03年入社後は6シーズンの阪神担当を経て、08年11月から広島担当。1人旅と焼酎を愛してやまない。カープが優勝した1979年に鹿児島県で生まれ、京都府育ち。
高垣誠(たかがき・まこと)
 1963年、兵庫県生まれ。89年の入社から様々な部署を異動。もらった辞令の数は社内一と自負するおめでたい人。プロ野球ではかつて中日、オリックスを担当。15年ぶりのプロ野球担当、広島単身赴任も慣れてきた46歳。

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