2009年1月13日
新天地で戦う石井の自主トレ拠点:酒井俊作
正月早々、縁起のいい思いをした。静岡・三島からローカル線に揺られて約40分。着いた先は修善寺だった。1月6日、快晴の午前8時。空気が澄み渡り、高台からは雪化粧した富士山を望める。そんな抜群のロケーションこそが、石井琢朗の自主トレ拠点だった。
「野手に転向したときから、ずっと静岡でやっているかな。今でこそ、あまり気にならないけど、当初は『おお~、富士山だよ!』って感じで。富士山をバックに練習をしたりしてね」
年が明けると、選手は春季キャンプに備えて、本格的に体作りに入る。故郷、母校、温暖地…。拠点を選ぶ理由はさまざまだ。石井もまた「近場だから」と話す。しかし、霊峰のおひざ元で新年のスタートを切るあたりは、気分も一新できるし、粋だな、とも思う。
昨季、首位打者に輝いた横浜内川や若手の梶谷、高森も参加。午前中は下半身強化のあと、ゴロ捕球の基本姿勢を丹念に繰り返す。<1>球を転がし、素手で捕球の形を作る。正面→逆シングル<2>壁当てのゴロ捕球を30秒×数セット<3>右足だけ着いた状態からゴロを捕って、素早く送球…。通常のノックを行う前に、3つの過程を経る。4度ゴールデングラブに輝いた名手が、それこそ、野球少年が取り組む練習に集中していた。
「壁当てとか、本当スゴいですよね。動きとか、何から何まで勉強になりますから」。そう話すのは、高卒2年目を終えた梶谷だ。確かに、低い姿勢を維持し、矢継ぎ早に捕球と送球を繰り返す壁当てのシーンは圧巻だった。まるで、球と体が一体になっていて…。
練習開始から約7時間。取材のお礼を言うと、横にいた内川が冗談めかして言う。「わざわざ石井さんのために来てもらって、ありがとうございます!」。そこには互いに刺激を与え合うきずながあった。プライドを賭けて新天地で戦う。日本一の山に抱かれた石井は心新たに真っ赤に染まる。(敬称略)
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