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2008年12月10日

野球を続けられる喜び:網孝弘

 広島入団が決まった石井琢朗内野手(38)の横浜ファンとのお別れイベントが、11月29日、横浜スタジアムで開催された。

 3500人のファンは、最後まで別れを惜しんだ。オークションでは石井の使用済みバットが12万円、実際に着ていた「背番号5」のユニホームが22万円、1年間使用したグラブが30万円で落札された。その収益金は横浜の福祉施設に寄付された。「ファンを広島につれていきたいです!」。マイクを握った石井は、絶叫した。

 退場の際には花道ができた。「琢朗さーん」。周囲から途切れることなく“最後”の声援が飛ぶ。花道の最後に石井がさしかかった時、突然、応援歌の大合唱が始まった。「駆け抜ける スタジアム 君の雄姿♪」。予期せぬ出来事に、石井の目は心なしか潤んでいるように見えた。「横浜のユニホームはこれで最後。今度は赤に染まります」。言葉にならなかったのか。小さな声でそう言った。

 石井は来季から広島の本拠地となる、総天然芝の新球場でのプレーを楽しみにしている。「体に優しいですね。負担が減ります」。来季はプロ21年目。「あと何年やりたいか?」という問いに、「そういう期限は決めたくない」。戦力外通告後も、ベイスターズ球場で黙々と体を動かし続けた。年俸が1億円以上ダウンしても現役にこだわった。

 単身赴任になるが、気にする風情もない。野球を続けられる喜びがにじみ出ている。広島のお好み焼きより関西風が好きだという。「でも、広島の食べ物はおいしいですよね」。屈託のない笑顔は少年のようだ。オフィシャルブログの「琢朗主義」は「超琢朗主義」として青から赤ベースに変わった。「欲張りなんで。走攻守、すべて一生懸命に」。横浜時代の応援歌は以下のように続く「明日の星をつかめよ♪」。広島でもう一度、星をつかんでほしい。


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カープ担当記者日記
酒井俊作(さかい・しゅんさく)
 03年入社後は6シーズンの阪神担当を経て、08年11月から広島担当。1人旅と焼酎を愛してやまない。カープが優勝した1979年に鹿児島県で生まれ、京都府育ち。
高垣誠(たかがき・まこと)
 1963年、兵庫県生まれ。89年の入社から様々な部署を異動。もらった辞令の数は社内一と自負するおめでたい人。プロ野球ではかつて中日、オリックスを担当。15年ぶりのプロ野球担当、広島単身赴任も慣れてきた46歳。

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