2008年8月12日
見逃せない栗原の1打席1打席:網孝広
世は五輪真っ盛り。北島康介の2大会連続金メダル、谷亮子の「ママでは銅」、男子サッカーの予選敗退…などなど。記憶に残るドラマが連日繰り広げられている。星野ジャパンは13日、いよいよ初戦のキューバ戦。日本の4番を打つのは新井だ。
プロ野球は12日からセ・リーグが再開する。広島は借金3の4位。京セラドームでは阪神に3連勝。チームは4連勝中だ。栗原が打率を3割3分まで上げてきた。125安打はリーグ最多。名実ともに軸になりつつある。
「4番」として迎えた初めてのシーズン。開幕直後は苦しんだ。最初の10試合で2割1分1厘。打点は15試合を経過した時点でわずかに「1」。ブラウン監督が思わず「ウチの4番はまだ打点が1しかないからね」とこぼすこともあった。新4番の3、4月の打点は「6」。それでも指揮官は我慢した。前半戦で70通り近いオーダーを組んだが「4番・栗原」は一度も変わることがなかった。
「我慢」が実り、栗原は調子を上げてくる。月間打率を見ると分かりやすい。5月は2割9分3厘、6月は3割1分1厘、7月は4割2厘…。「あの頃(開幕当初)はランナーをかえさなきゃいけないとか、打率がどうだとか…。焦りもあった」。慌てる打席が多く、自分から崩れていたという。「追い詰めるよりも、いいイメージ」と自らに言い聞かせ続けた。
きっかけになったのは5月11日ヤクルト戦(神宮)での一発だ。石川からバックスクリーンに放った125メートル弾。この打席まで12打席連続無安打で、打順降格も検討されていた。前日5月10日のヤクルト戦(雨天中止)ではスタメン表に名前がなかった。これは雨天中止を見越した指揮官の“無言のゲキ”だったが、“1発回答”で不安説を吹っ飛ばした。
「すごく感触がよかった。忘れかけていた感覚が戻った。そこから少しずつよくなった」。感覚が戻るとともに数字も上がってきた。ブラウン監督は「不振の時、栗原の頭の中には『新井、新井』というのがあったのかもしれない。それが『自分の打撃をすればいい』ということが分かったんじゃないか」と分析する。
新井は今や「日本の4番」。しかしどこまでいっても栗原は新井ではない。追いかける必要もないだろう。「とにかく、やれることをやろうと思う」。残り50試合を切った。記憶に残る秋へ-。広島市民球場最後の4番・栗原の1打席1打席が見逃せない。(数字はすべて11日現在)。
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