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2008年7月29日

「プロなんで。結果なんで」罵声に負けない上野:網孝広

 2週間の長期遠征から帰ってきてホームで3連勝(28日現在)。遠征中は7連敗もあったが、やはりホームの大歓声はいいものだ。ファンの声援が、選手を後押ししているのは間違いない。26日はアレックス、27日はシーボルのサヨナラ弾が飛び出した。赤く染まったスタンドからの大声援に応える両選手。打てば拍手喝采。凡退すれば静まりかえる。ファンの反応は、正直に心情を表す。

 20日の神宮でのヤクルト戦、ベテラン高橋が今季チーム最多の139球を投げたが勝ち投手になれなかった。10安打を浴びながら、2回に失った3点以外はスコアボードにゼロを並べた。7回には1死満塁から連続空振り三振。東京のカープファンは感動していた。だから、8回に勝ち越された上野が許せなかったのだろうか。試合後、三塁側ベンチを出てバスに向かう選手たち。大勢のファンがネットに張り付くようにして「高橋ナイスピッチング―」と声を枯らす。一方で上野には罵声が飛んだ。「上野、お前わかってんのか」。「お前のせいやぞ」。罵声、怒声、ヤジ…。なんと言えばいいのか分からない言葉が次々に浴びせられた。

 上野は立派だった。前だけを向いて堂々と歩いていた。記者の質問にもきちんと答えた。上野はそれまで12試合連続無失点だった。それでも1試合打たれれば罵声が飛ぶ。「ヤジ? 打たれたら言われるのは仕方ない。打たれた後に結果を出すしかない」。

 岸本は4試合連続無失点中。その間四死球はゼロだ。18日のヤクルト戦では8回から登板し、いきなり3連続四死球。満塁となり、犠飛を浴びた時点で降板した。「きしもとー」というファンの叫びが響く。「調子が悪い時は、ヤジは聞こえるんですよね。でも気にしない。打たれたら言われる。そんなもんですよ」と岸本は淡々と話す。「(マウンドでは)ヤジよりも、自分の球がいってないとか、そういうことが気になります」。プロとしては当たり前のことなのだろうが、その言葉がたくましく思えた。

 この2週間でチームは13試合を消化した。上野はそのうち9試合、岸本は4連投を含む7試合に登板。梅津、シュルツも13試合中7試合。横山が疲労で抹消されているため、どうしても中継ぎ陣の負担が大きくなる。毎日のように投げていれば、打たれることもある。「プロなんで。結果なんで」。ポツリと言った上野。罵声に負けない男たちが、投手陣の苦しい台所事情を支えている。(数字はすべて28日現在)


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カープ担当記者日記
網孝広(あみ・たかひろ)
 1972年、大阪府堺市生まれの35歳。入社後広告局に7年、編集局整理部(レイアウト部門)に3年半在籍。06年11月広島総局に赴任。34歳で初めて「新聞記者」になったオールドルーキー。Jリーグ、高校野球、高校サッカーなどの担当を経て07年9月よりカープ担当に。08年の予想順位はエールを込めて3位。まだまだ独身。
酒井俊作(さかい・しゅんさく)
 03年入社後は6シーズンの阪神担当を経て、08年11月から広島担当。1人旅と焼酎を愛してやまない。カープが優勝した1979年に鹿児島県で生まれ、京都府育ち。

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