2008年4月22日
広島を支える100番台の選手たち:網孝広
当たり前だが、チームというのは選手、首脳陣だけで構成されているわけではない。ブルペン捕手、打撃投手、グラウンキーパーなどなど…。実に様々な人々によって成り立っている。グラウンドでヒーローになるのは選手だが、その裏には多くの人間の思いが隠れていたりもする。
最近のカープは「タイムリー欠乏症」に陥っていた。11日の中日戦の4回に天谷が適時打を放ってから、18日の巨人戦まで43イニングもタイムリーが出なかった。その間の得点は本塁打のみ。2試合連続完封負けもあった。20日の巨人戦では5得点だったが、それまでの5試合の得点は0、0、1、1、1。チーム打率は20日現在で2割6分8厘でリーグ3位だが、総得点は51でリーグ最下位。1試合平均は2・8点。17点で横浜に大勝した試合を除いて平均すれば2点。なかなか打「線」にならない状況だ。
そんな時、打撃投手は何を思うのだろうか。豊田打撃投手は龍谷大卒業後、四国アイランドリーグの愛媛マンダリンパイレーツで1年間プレー。広島で打撃投手として3年目を迎えている。毎日100球は投げるという。「打者に気持ちよく打ってもらうために、いい球をストライクゾーンに投げる」。連日100球も投げれば、当然疲労はたまる。「肩もそうだし、体全体に疲れはたまります」。投げる前後のストレッチなど、体のケアは欠かさない。投手の仕事は「抑えてナンボ」だが彼は日々「いかに打たせるか」を考える。「打たせてナンボ」の商売だ。
当然、打者からの要求には応える。外角と言われれば外に投げる。基本は直球だが、要求に応じて変化球も投げる。投げて、投げて、打たせて、試合前に仕事は終わる。「内角にきちんと反応したり、外角を逆方向に打てている時は打者の調子はいいんですよ」。適時打がなかなか生まれない現状について聞くと「いつもどおり、いいコースに投げるだけです。自分が変な球を投げたら打てないので」と静かに言った。
20日の巨人戦の試合前練習。投げ終えた後に「天谷のセーフティーバントが決まってなかった。試合でも決まってないんですよね」と心配そうにつぶやいた。豊田打撃投手の背番号は102番。広島の打撃投手の背番号はみな100番台だ。打席に入る選手の姿を、100番台の投手たちは「練習どおり打ってくれ」という思いで今日もみつめている。
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