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2010年3月08日

野球のすそ野が広がればいいが…

学生野球憲章の改正

 2月末、高校、大学で野球部員として活動する人たちの憲法ともいうべき「日本学生野球憲章」の改正案が、日本学生野球協会の評議員会で可決された。

 1950年に制定されてから半世紀以上を経た。そこには時代にそぐわない条文などがあり、新たな指針を作ろうという動きが出てきた。2年間の検討期間を要して、今回の改正にこぎつけた。年度替わりの4月1日から施行される。

 その骨子の第一は「学生野球は教育の一環」というこれまでの基本理念を踏襲しながら、すべての人が「野球をする権利」があるとした。要するに入部制限の禁止で技術が未熟でも、野球ができるということ。

 さらに最低週1日の休養日を求める、としている。これは、健康維持の意図が前面に出ているが、筆者は、学業との両立に配慮したと解釈する。さらに勝利至上主義にクギを刺している、とも受け取っている。

 アマチュアリズム再徹底といえる要素だが、一方で学費免除などの、いわゆる特待生制度については全日本大学野球連盟、日本高野連に委ねる、としており各連盟の基準内で容認されることになった。

 ここまではアマだけに関する改正だが、画期的だったのはプロとの交流。一定の条件はつくものの、プロ野球界に所属する者から指導を受けるのはもちろん、プロチームとの練習試合なども許可されることになった。

 旧憲章が制定されたのは2リーグ分立された年。プロ野球の草創期で、以後、ファンは増大していった。そして今では“国民的娯楽”に。そして、高校球児や大学生の憧れの進路、就職先にもなっている。

 そんな憧れの先輩たちもかつてはプロの一流に熱視線を送って、その人たちの仲間入りした。後輩がそういう先輩たちと触れ合いできない方が、もともと不自然。新井貴浩・労組日本プロ野球選手会長(阪神)が「野球は一つであるべき」と主張するように、交流があって然るべき。

 もちろん、フェアで透明な交流が前提である。それと、プロ経験者がアマの指導者になる条件が緩和された点も評価したい。アマの指導者を批判する気はないが、プロ経験者の持つ知識、技術を取り入れることはプラスだ。

 もう一つ、処分を受けた際に、不服を申し立てる権利が定められた。これまでは高野連などの不祥事への処分は絶対だったが“救済の道”が敷かれた。

 さて、この新憲章で高校、大学野球はどう変わるのか。入部制限なしとプロとの交流が変貌への二つのポイントだと見る。

 というのも、野球人口がさらに増えるのでは、との期待があるから。そして、その下の世代にも目が行く。中学生以下の生徒達が兄たちや、周辺の先輩を見て、僕も……と。

 すそ野が広がることに、多大な価値、意義を求めてはいない。ただ、野球が好きだからだ。幼少の頃から野球に馴染む人が増えれば、一流プレーヤーの出現の確率も高くなる。
 もっと楽しい、レベルの高いプレーを見たい。かつてのヘタな野球少年のわがままだ。


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浅岡真一「独断流」
浅岡真一(あさおか・しんいち)
 1950年3月24日、大阪生まれ。早大卒業後、74年、大阪日刊スポーツ新聞社に入社。4年近くの内勤を経て、78年から運動部記者に。近鉄を6年担当、その後、阪神担当に。85年のリーグ優勝、日本一を目のあたりにした。現場時代はその執拗な取材活動から「ゴキブリ記者」とも呼ばれた。89年から運動部、報道部デスク、運動部長などを歴任、その間もほぼ野球の世界で取材活動を続けてきた。編集委員、広島総局長、編集局次長、営業局長などを経て、04年8月から現場記者に復帰。趣味はスポーツ観戦、テレビのニュース、クイズ番組視聴。

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